韓国の貯蓄銀行、規制緩和しても新事業は難航

韓国の金融当局が貯蓄銀行の付帯業務に関する規制を緩和してから3年も経ったが、この間の承認事例は1件にとどまることがわかった。

3年間で承認は1件のみ

貯蓄銀行が新事業を推進するには敷居が高く、緩和された規制の実効性も低いとの指摘が出ている。

金融監督院によると、現在まで登録された貯蓄銀行の付帯業務はウェルカム貯蓄銀行の融資仲介業務が唯一のものだ。ウェルカム貯蓄銀行は2021年、マイデータ事業とともに融資仲介を当局から承認された。

2020年3月に他の貯蓄銀行が承認された付帯業務は、別途の承認なしでも扱えるようにした相互貯蓄銀行監督規定の改正案により実施された。

現在、ウェルカム貯蓄銀行以外の貯蓄銀行もライセンスさえ獲得すれば、融資仲介を営むことができる。ただ、新事業は見通しが立たない状況だというのが関係者たちの証言だ。

貯蓄銀行は新しい付帯業務の承認を受けるために、金融当局から△自己資本△資産規模△経営健全性△金融利用者保護△経営管理能力などの要件について評価を受けなければならない。また、事業の正当性と計画なども金融当局に開示しなければならないなど、手続きが煩雑だ。

貯蓄銀行が「ポジティブ規制」を適用されているという点も、新事業への進出が難しい理由のひとつとして挙げられる。ポジティブ規制とは、法律と規制に記載された業務だけを許容し、それ以外の事業は許容しないことだ。金融監督院の貯蓄銀行標準業務方法書に明示された事業だけを営むことができるという意味だ。

一例として、貯蓄銀行はゴールドバーの販売が付帯業務として記載されているが、銀の販売やゴールド口座の発行など類似の事業は不可能である。また、スポーツチームを運営する貯蓄銀行の場合、チケットを販売することはできない。

貯蓄銀行業界は、付帯業務規定と規制緩和について懐疑的な立場だ。新規付帯業務の承認が不可能に近い状況で、後発走者となる事業についてのみ承認を緩和することでは効果を得にくいということだ。

ある貯蓄銀行の関係者は「ウェルカム貯蓄のような大手の場合、システムを構築する余力があり、マイデータの承認も受けたため、付帯業務の承認に繋がった」とし、「基本的に貯蓄銀行が営める事業は非常に制限的で、新しい付帯業務について当局に説得する過程も難しい」と述べた。

続けて「貯蓄銀行の既存の業務に適用される規制も強化される傾向にあるのに、どのような貯蓄銀行ならば新規事業を承認してもらえるか分からない」と話した。

パク・ジンヒョク記者