韓国版ソーシャルレンディング、不動産担保ローンに偏重
韓国のP2P(オンライン投資連携金融業)会社が不動産担保ローンを拡大している。担保余力のある借主を中心に、融資の取扱が増えていることから、P2P業界の「役割論」に火がついている。
P2Pは、個人投資家からお金を集め、資金が必要な人や会社への融資するビジネスで、日本の「ソーシャルレンディング」と同様の業態と言える。
融資全体の7割
P2Pの中央記録管理機関が21日までに公開した資料によると、現在、P2P会社として登録している33社の融資残高(1兆1048億ウォン)のうち、不動産担保ローンが占める割合は69%に達する。今年6月(58%)に3社が新たにP2P会社の登録を終えて以来、拡大が続いている。
不動産担保ローンとは、金融機関が不動産を担保物として扱う融資を意味する。言い換えれば、不動産資産のない利用者には融資ができないという意味だ。さらに、不動産資産以外の担保(手形、売上債権など)融資まで合算すれば、全体に占める割合は79%まで上がる。すなわち、担保のない脆弱(ぜいじゃく)階層は、P2P会社から融資を受けるのは難しいということだ。
関連業界の内外では、担保ローン増加の原因として、借主の移動が取り上げられている。韓国政府の融資規制を受け、ほかの金融圏で融資を受けられなくなったり、限度に達したりした相対的に高信用の借主が、P2P業界に転じたという分析だ。P2P業界は今のところ、DSR規制などの適用を受けていない。
また、これまで不健全性や延滞累積などで議論を招いてきたP2P会社が、リスク管理を強化しているという見方もある。
P2P会社にとって担保ローンは、個人信用融資と比べて金利が低く収益性は足りないが、貸倒リスクは低い。
これに対して、P2P業界の「役割論」に対する憂慮が出ている。P2Pは中・低信用者に中金利の融資を拡大するために生み出されたのに、担保物がある相対的に高信用者に融資が集中しているという指摘だ。
個人信用融資の比重低下
P2P会社が安全な借主を中心に融資を行ってきたため、個人信用融資の割合は低下している。P2P会社に登録した33社の融資残高に個人信用融資が占める割合は、今年6月(35%)から徐々に縮小し、今年12月には9%まで低下した。
祥明大学のソ・ジヨン大学経営学部教授は「本来の趣旨に合わせてP2P業界を利用していた低信用者も融資を受けられていない可能性がある」としながら、「融資が偏重するのも懸念される状況だが、脆弱階層が融資を利用できないということには問題がある」と述べた。
一方、不動産関連ローンの割合が高くなるにつれ、不動産景気が低迷した場合、不良債権化のリスクが高いという指摘も提起されている。
実際、P2P業界の融資規模がトップだったテラファンディングの場合、不動産PFと担保融資が多数延滞し、投資家の訴訟によりP2P会社の登録審査が中断している。今年11月現在、テラファンディングの延滞率は87.88%に達する。
パク・ジンヒョク記者