ロッテカード、売却されて再生…企業価値が急上昇

ロッテグループは2019年、ロッテ損害保険とロッテカードをそれぞれ、別の私募ファンドに売却した。ロッテ損保はJKLパートナーズ、ロッテカードはMBKパートナーズが新しいオーナーとなった。買収直後、代表取締役をJKLパートナーズから受け入れたロッテ損保とは違い、ロッテカードは当時の社長を副会長に昇進させて人事の入れ替えをしないなど、両社は買収初期から違う方向性を見せた。

グループと離れ飛躍

ロッテグループを離れ、私募ファンドのMBKパートナーズに売却されたロッテカードが、急激な成長を見せている。金融実績の改善で、順調に企業価値を引き上げていると評価されている。

ロッテカードの曺佐溱(チョ・ジャジン)社長は新年の挨拶を通じて、「デジロカ(デジタル+ロッテカード)への大転換」を強調した。デジロカは、ロッテカードが昨年11月から推進しているブランド再編キャンペーンだ。カード会社を越え、超個人化されたデジタル会社としての跳躍を意味するという説明だ。

業界は、デジロカをロッテカードの体質改善の第2弾と見ている。先立って昨年3月、ロッテカードがカードと金融を分離した金融ブランド「ロカマネー」をローンチングし、金融強化という第1次体質改善に乗り出したことがある。

実際に筆頭株主が替わって以降、ロッテカードの好業績は金融が牽引した。昨年第3四半期、ロッテカードのカードローンやキャッシングサービスの利息収益はそれぞれ3750億ウォンと797億ウォンで、買収直前の2019年(3108億ウォン、774億ウォン)に比べ、全て増加した。同期間、一般融資の利子収益も411億ウォンから601億ウォンまで増えた。

そして、ロッテカードは金融での事業の多角化も並行している。これまでおろそかだった自動車ローンを強化し、取扱額を買収前より300%ほど拡大した。さらに、昨年4月には株式買入資金の融資(スタックローン)商品を発売した。

これにより、ロッテカードの総資産や純利益は急激に上昇した。昨年第3四半期、ロッテカードの総資産は15兆7226億ウォンで、買収直前(12兆6771億ウォン)に比べて2兆ウォン以上拡大し、純利益は314億ウォンから2078億ウォンへと6.6倍も急増した。買収価格や企業の価値指標となる純資産も、2年間で2689億ウォンと、11%引き上げた。

健全性は良好な状態を維持している。ロッテカードの固定以下債権(Sub-Standard)と延滞債権の比率は△2019年1.32%、1.65%△2020年1.25%、1.32%△2021年1.04%、1.14%と持続的に改善された。

DSR算定・手数料引き下げ課題

ただし、規制環境の変化と本業での収益性の悪化は課題として残っている。昨年、金融当局が今年から借主単位の総負債元利金返済比率(DSR)の算定にカードローンを含めることを決め、これまでカードローンを拡大してきたロッテカードの営業が萎縮する可能性が高くなった。

それから、決済による加盟店手数料の収益も縮小している。昨年第3四半期、ロッテカードの加盟店手数料収益は1153億ウォンで、買収後に減少し続けている。さらに、昨年末には金融委員会が再び加盟店手数料率の引き下げを発表し、収益性の悪化は避けられないのが現状だ。

通常、私募ファンドが3~5年が過ぎた時点で投資金の回収を決定するという点を考慮すると、MBKパートナーズは今年下半期以降も売却のタイミングを求めるだろうと予測されている。MBKパートナーズは同社持分79.83%を1兆3810億ウォンで買収した。当時の持分100%の価格は1兆7300億ウォン、株価純資産の割合は0.8倍の水準だった。

与信専門金融業界の関係者は「ロッテカードは他社より速やかに事業の多角化を推進しているが、私募ファンドの特性上、早期に収益性と企業価値を引き上げなければならないためによるものだと考えられる」と述べた。

パク・ジンヒョク記者