韓国の相互金融、対法人の信用貸付に進出…貯蓄銀行と競争激化へ

韓国の相互金融業界が対法人の融資市場に進出し、貯蓄銀行との顧客争奪戦が予想されている。

農畜協は先月、相互金融として初めて法人信用評価モデルを構築し、法人に対する信用貸付を扱い始めた。全国55の農畜協で試験実施した後、全国に拡大する予定だ。

背景に家計融資のリスク増大

セマウル金庫も法人への信用貸付を準備している。現在、独自の信用評価システムを構築中で、来年実施する計画だ。相互金融は伝統的に、地域金融に強みがあり、地域企業の発掘で有利であると見ることができる。

これまで相互金融は、法人融資のほとんどを担保貸付として実行してきた。

法人が信用貸付を受けるには信用評価会社(CB)や金融機関の信用評価モデルにより信用格付けの認定を受けなければならない。しかし相互金融は、独自の信用評価モデルを持たなかった。相互金融を利用する企業が零細で、信用評価会社で評価を受けにくい場合もあった。

相互金融が最近になって法人に対する信用貸付に目を向け始めたのは、法人の需要拡大と家計融資のリスク低減のためだ。

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政府の金融委員会によれば、相互金融の家計融資残高は、今年上半期に9兆4000億ウォン増加した。昨年上半期に4兆8000億ウォン減少したのと比較すると、急激な上昇と言える。家計融資は、企業向けの融資よりも景気悪化時の不良債権化リスクが大きい。

また、新型コロナウイルス禍の長期化により、個人事業者や地域の法人顧客の融資需要が増大したことも背景にある。

相互金融の法人信用貸付への進出を、貯蓄銀行は緊張を持って見守っている。

貯蓄銀行も、対法人の融資残高を増やしている。今年第1四半期、79の貯蓄銀行の融資残高は45兆4460億ウォンで、昨年末(43兆2397億ウォン)に比べ5.1%増加した。最近は、金融当局が家計融資の抑制に乗り出したのを受けて、法人顧客の拡大が避けられない情勢だ。

ある貯蓄銀行の関係者は、「相互金融も我々同様、大企業よりは中小企業への融資を扱う可能性が高く、顧客層が重なるはずだ。相互金融は貯蓄銀行の完全な商売敵であり、貯蓄銀行の立場としては歓迎できることではない」と述べた。

また他の貯蓄銀行の関係者は、「貯蓄銀行同士でも、法人顧客を増やすにはある程度の競争が必要だ」とししながら、「相互金融まで進出するとなれば、競争激化は避けられない」と話した。

パク・ジンヒョク記者