カカオバンク、アプリで青少年を席けん…都市銀行は困惑
韓国のネット銀行・カカオバンクが青少年向けバンキングアプリ「mini(ミニ)」のヒットで、ユース(YOUTH)市場の占有率を早いテンポで広げている。若年層の顧客確保のため、毎年数百億ウォンを投資してきた都市銀行は、苦笑いしている。
10人中4人が使用
カカオバンクによると、青少年(満14~18歳)対象の金融サービス「mini」の累積加入者数が、10月に100万人を突破した。韓国の青少年人口は約233万人で、10人中4人がminiを利用していることになる。サービス開始から1年余りでの成果だ。
カカオバンクのアプリに搭載されたminiは、非対面では口座開設が難しい青少年が円滑な金融取引ができるよう設計された、銀行口座の開設や連携がなくても利用できるプリペイド電子支払手段だ。
アプリには最大50万ウォンまでプリペイド金をチャージし、保管・管理できる。本人名義での振込から交通手段の利用、デビットカード、オンライン・オフラインでの簡単決済サービスなど実際の金融取引が可能だ。利用金額は親の所得控除への合算も可能で、親子間の小遣い支給・管理サービスとして人気を集めている。
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カカオバンクのminiを通じた青少年顧客の独占に、都市銀行は困惑している様子だ。
金融機関と初めて取引を開始する青少年は、銀行圏の代表的な未来成長の動力源といわれているからだ。すぐには預金・融資などの商品販売で実績を期待するのは難しいが、いずれメインバンクとなることができるか否かは、銀行の将来の収益性を左右する。
大学・兵役「攻略」するも
韓国の都市銀行はユース顧客を先取りするため、毎年、巨額の投資を行い、大学生と兵役中の軍人を対象にブランドイメージを高め、親密度を引き上げるマーケティングを展開してきた。
大学内に支店を開設し、デビットカードの機能が加わった学生証を発給できるメインバンクの契約を取るために使った金額も相当なものだ。
銀行連合会の利益提供公示を見ると、KB国民、新韓、ウリィ、ハナの4大銀行が2018年から今年まで大学に支給したか、支給する予定の出資金規模は1608億ウォンに達する。
該当期間、新韓銀行が807億ウォンで最大の資金を出し、ハナ銀行(396億ウォン)、ウリィ銀行(263億ウォン)、KB国民銀行(140億ウォン)の順だった。
また、KB国民銀行とIBK企業銀行は軍人を誘致するため、2015年に徴兵検査対象者に発行される「ナラサラン(国への愛)カード」を10年間運営できる事業権を獲得した。この事業は年間100億ウォン以上の費用が支出されるもので、両銀行は2025年までに約1500億ウォンを投資する見通しだ。
商品性より使いやすさ
ある金融圏の関係者は「これまで銀行は潜在的なメインバンクの顧客を確保するため、ユース・マーケティングに巨額の資金を使ってきた。過度な費用が結局、金融消費者に転嫁される可能性があるという指摘が出たりもした」としながら、「よくできたアプリサービスで安定的に若い顧客の忠誠度を高めるカカオバンクの歩みに、都市銀行は鼻白んでいる」と述べた。
続けて、「低金利基調の長期化で銀行間の金利競争力の差が薄くなり、最近の消費者はメインバンクを選ぶのに、商品よりも使いやすさと便利さを追求している」とし、「今後は、両親が口座を開いた銀行よりも、自分で直接管理してきた銀行に強い忠誠度を見せることになる」と付け加えた。
アン・ソユン記者