韓国当局「感染症保険」を再三要請…業界は慎重な見方
韓国の金融当局が、感染症拡大防止のための集合制限・禁止措置による小規模事業者の営業損失を保障する「感染症保険」の開発を保険会社に改めて注文した。共同引受や保険料支援などの活性化支援策も提示し、感染症保険の発売に対する期待感も高まっている。
感染症保険とは、新型コロナウイルスのような伝染病による営業中断、旅行の取り消し・中断、イベントの取り消しなどを保障する保険のことを言う。集合制限・禁止措置による小規模事業者の営業損失を補償する。
「共同引受、保険料支援を模索」
高承範(コ・スンボム)金融委員長は3日、保険会社の最高経営責任者(CEO)らと会った席で、「今年10月、保険開発院で初めて感染症保険リスクの評価モデルを開発したが、活性化が容易ではないという話を聞いた」としながら、「感染症保険の活性化のための要件を作る」と述べた。
具体的には、感染症や自然災害など個別保険会社が負担しにくいリスクに対しては共同引受案を模索し、保険料支援案を関係省庁と協議する方針である。金融委は感染症保険を今年の中核課題に選定し、伝染病による被害を保障するシステムを検討してきた。
実際、今回の新型コロナウイルス事態で小規模事業者の被害は大きかったが、これを保障する民営保険商品はあまりなかった。
例えば、死亡や医療費は生命保険や実損保険などで保障されるが、営業中断やイベントの取り消しなどは保障されなかった。旅行者保険やウェディング保険も、感染症によるキャンセルの違約金を補償しなかった。
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最近、保険開発院は感染症保険の料率算出の基礎となる危険評価モデルの開発を完了した。感染症の拡散で政府が集合を制限・禁止する行政措置を発令する確率を算出し、これによる小規模事業者の休業損失を保障するモデルだ。過去の伝染病の特性だけでなく、人口密度、人口移動、防疫水準などの変数も反映した。
危険評価モデルは出たが…適正な保険料算定は難航
ただ、保険業界は感染症保険商品の発売までは、長い期間がかかるだろうと見込んでいる。新たな感染症が発生する可能性や危険率、適正な保険料・保険金などを計算しなければならないからだ。これに先立って、保険会社が保険開発院から保険料率を提供されたものの、保険料が高く、商品性を考慮すると、発売は難しいと判断したという。
ある保険会社の関係者は「小規模事業者が対象である上、いつ発生するか分からない感染症に備える保険であるので、保険会社が保険料算定にかなりの困難があるだろう」とし、「保険料が高ければ、意気込みとは裏腹に加入率が低調になりかねない」と話した。
一方、海外では感染症リスク評価モデルを開発し、保険商品の開発に活用している。2018年、ミュンヘン再保険や仲介会社のマーシュ、リスクモデリング会社のメタバイオタ(Metabiota)などが協力し、感染症による企業の営業損失を補償する保険商品を発売した。主に宿泊、旅行、スポーツ業界などを対象に販売された。
ユ・ジョンファ記者