韓国の銀行、不良債権減少は錯視効果か…健全性への懸念残る

韓国の都市銀行の無収益与信比率は下落傾向を見せているものの、与信健全性に対する懸念は依然として拭えていない。

無収益与信比率が減ったのは、家計向け融資の急増で全体的な与信が増えたことによる、相対効果という分析だ。新型コロナウイルス対策の金融支援により膨張した延滞リスクに備え、貸倒費用を増やすべきだという声が出ている。

無収益与信比率、2年連続減少

金融監督院の金融統計情報システムで公開された情報によると、韓国の4大都市銀行(KB国民、新韓、ハナ、ウリィ銀行)の今年第3四半期平均の無収益与信比率は0.22%と集計された。2019年の0.36%、2020年の0.30%に続き2年連続の減少となった。

無収益与信比率は、与信全体の中で収益を生まない与信が占める割合だ。金融機関の融資金のうち、3カ月以上延滞した融資で今後、債務返済能力が悪化することから、貸した金を回収できる可能性がなかったり、難しくなったりした不良債権の比率を意味する。

銀行別にみると、ウリィ銀行は2019年の0.37%から今年第3四半期の0.20%へ0.17%減少し、減少幅が最も大きかった。同期間、新韓銀行(0.42%→0.26%)は0.16%、国民銀行(0.32%→0.18%)は0.14%、ハナ銀行(0.34%→0.26%)は0.08%減少した。

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銀行は通常、四半期末の不良債権の償・売却、担保処分による与信回収などを通じて無収益与信比率を管理し、延滞率の改善に取り組んでいる。

今年の上半期、銀行の不良債権の整理規模は計4兆2000億ウォンと、前四半期(2兆7000億ウォン)比で1兆5000億ウォンが増加した。貸し倒れ償却債権が9000億ウォン、売却債権が1兆ウォン、与信正常化規模が1兆3000億ウォン、担保処分による与信回収の規模は8000億ウォンとなっている。

家計融資増加の影響か

ただ、最近の無収益与信比率の減少傾向は、新型コロナウイルス以降に急増した家計向け融資によって、総与信規模が増えた影響がより大きいという分析が出ている。

実際、2019年上半期と2020年上半期の韓国の銀行の不良債権の整理規模は、各5兆1000億ウォン、4兆5000億ウォンと減少傾向にあった。

一方、銀行の主な収益源である家計向け融資は、今年初めて1000兆ウォンを超えた。今年第3四半期は1744兆7000億ウォンを記録し、過去最高を更新した。政府の家計融資規制の強化で増加幅は鈍化したものの、依然として拡大傾向を見せている。

よって来年3月、新型コロナウイルス対策の金融支援措置が終了した後、限界借主を中心に発生する潜在リスクに備えた引当金も増やすべきだという意見も出ている。

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ある金融界の関係者は「金融当局が来年も強力な家計向け融資の総量規制を敷くと予告しただけに、銀行も健全性強化など経営安定化を図る方向に転換しなければならない」としながら、「来年3月に新型コロナウイルス対策の金融支援措置が終了すれば、限界借主が顕在化し、銀行の健全性にも影響を及ぼすしかなく、引当金を積み上げるなどの準備が必要な時点だ」と述べた。

一方、韓国金融研究院は、来年の融資増加分や金利上昇、優遇金利の縮小などにより、銀行の純利子マージン(NIM)は今年より増加した48兆ウォンとなるものと見込んでいるが、貸倒れ費用の規模は2兆ウォンほど増加した8兆ウォン規模と予測した。

これとともに、金融当局の強化された家計向け融資の管理基調を踏まえ、来年の国内銀行の融資増加率の予測値は今年より3%減少した5.2%を提示した。

イ・ジウン記者