韓国「コロナ金融支援」終了控え金融圏が緊張

韓国政府が新型コロナウイルス対策として取った中小企業への金融支援措置が、間もなく終了する。それにより、大規模な不良債権の発生するのを警戒する金融機関が、厳重に守りを固めている。

大規模な不良債権化を警戒

韓国政府は2020年3月、新型コロナの感染拡大により経営に打撃を受けた中小企業を救済するため、融資の満期延長及び元利金の返済猶予からなる金融支援措置を取った。当初は同年9月までの予定だったが、その後も6カ月ごとに4回延長され、今年9月末で終了となる。

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2020年4月から今年1月まで、金融支援措置の対象となった貸出元利金は291兆ウォンに達する。内訳は△満期延長276兆2000億ウォン△元金返済猶予14兆5000億ウォン△利子償還猶予2440億ウォンなどとなっている。KB国民・新韓・ウリィ・ハナの4大銀行が把握している元利金返済猶予規模は4兆2000億ウォンほどだ。

銀行は実績カンファレンスコールなどを通じて、目下のところ、猶予分に耐えるのに無理がない状況だと明らかにしている。

融資の性格を細かく分類してみた結果、金利引き上げの影響が大きいクレジットローンより、工場や設備などを担保にしたリスクの貸出の規模が大きかったとの説明だ。また予想される不良債権化の規模以上の引当金を積んで置いたため、対応余力も十分だと自評した。

銀行は金融支援の終了に備えて、「軟着陸プログラム」も構築した。対象となっている小規模商工人・中小企業との相談を通じ、据え置き期間を延長する方式だ。

「損失吸収能力を過信も」

例えば新韓銀行の場合、△分割返済期間を総猶予期間の3倍以内(最大5年)に延長し、融資残高を均等分割方式で返済する案△猶予利子の納付期間を総猶予期間の5倍以内(最大5年)に延ばす案△据え置き期間を延長する案の3つの選択肢を設けた。

軟着陸プログラムが本格的に稼動すれば、対象となっている借り手の休・廃業と延滞可否、顧客管理活動など周期的なモニタリングも強化する方針だ。

ただ、金融圏の一角では、2年間続いた金融支援により潜在化したリスクに対する懸念の声も出ている。

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3月末における国内銀行のウォン建て融資延滞率は0.22%で、前月末(0.25%)比0.03%下落した。 前年3月末(0.28%)と比べると、0.06%ポイント減少した数値だ。借主の償還能力が改善したのではなく、猶予措置により不良債権化が防がれたことによる錯視効果だとの分析だ。

韓国金融研究院のイ・スンホ研究委員は、「コロナによって、貸出需要が大きく増えたにもかかわらず、各種支援策によって、延滞率などの指標が良好な水準を見せている」とし、「銀行の貸倒引当金積立率が高いのも、不良債権の規模が小さく見積もられているためだ。この状況では、銀行の損失吸収能力に対する過信を呼び起こす恐れがある」と指摘した。

アン・ソユン記者