韓国で飲食・宿泊業の返済遅延が急増…「潜在不良」が本格化
今年上半期、韓国の都市銀行が宿泊業、飲食業従事者に与えた融資から発生した延滞金が、前年比72%増となっていることが分かった。都市銀行の延滞率こそ史上最低値を記録しているが、その裏では個人事業者の不良債権化が水面下で進行しているとの懸念が出ている。
延滞額72%急増
KB国民、新韓、ハナ、ウリィ銀行の4大都市銀行による事業者融資のうち、今年上半期に宿泊・飲食業者から発生した延滞金額は計944億ウォンで、昨年末比で548億ウォン(72%)増加した。
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新型コロナウイルスの長期化や強力なソーシャルディスタンス措置の影響を受け、対面サービス業種の個人事業者らは資金調達が難航しているものと見られる。
韓国政府は新型コロナウイルスの感染者数がなかなか減らないことから、飲食店やカフェなど人が多く集まりやすい場所の営業時間を午後9~10時に制限し、6時以降の会合の人数を2人に限定するなど、強力な防疫指針を実施した。当該措置によって個人事業者たちは売上不振に悩まされ、直接的な影響を受けた。
問題は延滞率が統計に反映されないまま、「潜在不良化」の危険がますます高まっているということだ。融資額は増え続けている一方、今年6月末の韓国内銀行の延滞率は過去最低水準を記録した。
延滞率「改善」は錯視現象
金融監督院によると、国内銀行の第2四半期の不良債権は計12兆2000億ウォンと、第1四半期と比べ1兆6000億ウォン(11.5%)減少し、史上最低水準を記録した。一方、総与信額は42兆5000億ウォン(1.9%)増加した2264兆6000億ウォンと集計された。
企業与信の不良債権の割合は0.76%で、第1四半期より0.13%下落した。大手企業与信の不良債権の割合は1%と、前四半期末に比べ0.18%減少した。
同期間、中小企業与信の不良債権の割合は0.65%、個人事業者与信の不良債権の割合は0.23%で、それぞれ0.1%、0.02%下落した。
しかし金融界では、金融支援措置により不良債権が潜在化しているだけで、延滞率の下落は「錯視現象」であり、実質的な改善はなされていないとの分析が大勢だ。
元利返済猶予、3月で終了
新型コロナウイルス金融支援の「融資満期延長および元利金返済猶予」措置が3回にわたって延長され、銀行は借主から元利金を回収できず、延滞率を予測できない状況にある。借主の返済能力を評価できる指標である利子納付まで見送られ、企業の経営悪化の可否の判断はさらに難しくなっている。
新型コロナウイルスの第4波大流行が長期化する場合、個人事業者の「限界借主」はさらに増加するものと見られる。元利金の返済猶予期間が長引けば、その分だけ借主が返済しなければならない借金は増える。金融支援措置が満了する来年3月に返済できない企業が多く現れれば、金融界も打撃を受けざるを得ない。
金融界の関係者は「今後、金融支援措置が終了すれば、限界借主を中心に個人事業者向け融資の健全性が下落する危険が高まる」とし、「小商工人・中小企業向け融資に対する金融支援の推移を見極め、資産健全性などと関連した持続的なモニタリングが必要だ」と述べた。
イ・ジウン記者