韓国で貯蓄銀行会長選挙…最大のテーマは預金保険料率の引き下げ
韓国で、今月17日の貯蓄銀行中央会長選挙を控え、業界の宿願だった「預金保険料率引き下げ」がテーマとして浮上している。会長候補らが先を争って主要公約に掲げてきたからだ。
しかし、鍵を握る預金保険公社の立場は反対の意見が強く、実現の可能性は低いとの指摘が出ている。
「0.4%は高すぎ」都市銀行の5倍
貯蓄銀行業界によると、貯蓄銀行中央会長選挙に名乗りを上げたハナ貯蓄銀行のオ・ファギョン代表とイ·へソン元韓国取引所市場監視委員長が、最終盤の票集めに乗り出している。
両候補ともに、ほかの金融圏に比べ規制が厳しい貯蓄銀行圏の状況を考慮し、規制緩和を選挙公約として打ち出し、これを積極的に解決する意志を見せている。
業界で最も注目されている話題は、「預金保険料率の引き下げ」だ。貯蓄銀行の預金保険料率は現在0.4%で都市銀行(0.08%)の5倍に設定されている。これは2011年に起きた釜山貯蓄銀行の経営危機に際して決められた。
イ候補は、2024年に預金保険料率の上限が再算定する金融当局のスケジュールに合わせ、預金保険料率の引き下げを積極的に推進する。そのためのタスクフォースを貯蓄銀行の代表を含めた専門家グループを中心に編成する計画を明らかにした。
イ候補は「2024年に政府が預金保険料率の上限を再算定する。この時、預金保険料率の限度、預金保険料率の調整なども同時に変更される可能性が高い」としながら、「これに先立ち、政府は貯蓄銀行業界の要求を受け、再算定期間前の2023年下半期までに関連内容を検討し、公式の立場を明らかにする予定だ」と述べた。
オ候補も、官僚出身の諮問委員会を構成して対応論理の構築に努めるなど、イ候補と同様の計画を立てた。
オ候補側は「IMF危機当時、銀行圏に流れた基金も依然として回収中だ。公的資金が回収されていないほかの金融業界もあるのに、貯蓄銀行業界だけが課された規制がある」とし、「諮問委員会を通じて体系的な対応論理を構築し、関連法が改正される際に影響力発揮する計画だ」と述べた。
預金保険公社は「時期尚早」
両候補は、貯蓄銀行業界は釜山貯蓄銀行の問題以降、資産や健全性指標では持続的に成長したが、預金保険料率は10年以上も維持され、必要以上の負担を強いられているとの見方を示した。当時の不健全な企業はほとんど消え、新規企業が主流をなした現在の業界の状況を考慮した場合、不合理だという主張だ。
実際、韓国銀行(中央銀行)の金融安定報告書によると、貯蓄銀行業界の延滞率は2017年の5.8%から昨年第3四半期の2.78%に低下し、固定以下与信比率も6.8%から3.54%に減少した。総資産増加率は2017年以降、毎年10~30%台の急激な成長を続けている。
しかし預金保険公社としては、2011年の問題発生時、構造調整に使われた特別会計を理由に、預金保険料率の引き下げを早期に行うのは難しいと見ている。
この特別会計には当時、約27兆ウォンが充てられ、現在も預金保険料からの返済が続いている。預金保険公社は特別会計を作った当時、2026年までの返済を目標に貯蓄銀行の預金保険料率を0.4%に策定していた。
該当期間まで4年を残す現時点での返済率は半分ほどに過ぎず、預金保険料率引き下げの話が出るのは時期尚早との説明だ。
特に、特別会計に使われた基金には、ほかの金融業界の預金保険料残高が半分以上入っており、貯蓄銀行業界の預金保険料率のみ引き下げたほうが、公平性に反していると見ている。
預金保険公社の関係者は「2026年までに構造調整特別会計を全額返済するとしても、新たに不健全な貯蓄銀行が出現する可能性もあり、追加引当金が必要なのが実情」としながら、「特別会計以外にも今後、貯蓄銀行の運営のために固有会計の残高も準備しなければならないため、預金保険料率引き下げは時期尚早だと思う」と述べた。
チョン・テヒョン記者