韓国の金融監督院…違法な事業者向けローンに警告
韓国政府の金融監督院は、貯蓄銀行業界で現れている違法な事業者向け住宅担保ローンの横行に厳重に対応する方針だ。家計向け融資の規制が強化され、相対的に規制が緩い貯蓄銀行の事業者向け住宅ローンが急増したことを受けた措置だ。
不良債権化リスクを助長
金融監督院によると、法人・個人事業者に対する事業者向け住宅ローンの規模は、△ 2019年末に5兆7000億ウォン△2020年末に6兆9000億ウォン△2021年末に10兆9000億ウォン△今年3月末に12兆4000億ウォンと、増加傾向が続いている。
金融監督院は、ここに融資詐欺組織が介入し、書類の偽・変造などを通じて事業者向け住宅ローンが不当に取り扱われた事例を多数確認したと明らかにしている。
貸出募集人などで構成された融資詐欺組織は、チラシ、インターネットカフェなどの広告を通じて融資を受けるのが困難な消費者に接近。見積書や税金計算書など、融資を受けるのに必要な書類を偽・変造して正常な融資申請を装う手法で、融資金を詐取している。
このような行動は、貯蓄銀行の融資の不良債権化リスクを増大させ、健全性を悪化させる危険性がある。
今後、不動産景気の下落とともに金利引き上げが続く場合、担保価値が下落し、債務者の利子負担が増加しながら、不良債権化リスクが大きくなる可能性がある。
担保比率8割超が過半
今年の3月末の時点で、貯蓄銀行の事業者向け住宅ローンのうち、住宅担保認定比率(LTV)80%超過融資が48.4%、90%超過が15.3%と集計された。LTVが高い水準にあるだけに、不動産景気に敏感に反応する分析されている。
貸出金利が1%引き上げられた場合、貯蓄銀行の事業者向け住宅ローンの借り手の年間利子負担額は1240億ウォンほど増加する見込みだ。
また、家計向け住宅ローンに対するLTV規制(40%以下)が適用さないだけに、融資詐欺を通じ、高LTVローンが大量に引き出される恐れもある。
さらに、事業者向け住宅ローンの貸倒引当金の要積立率は家計向け住宅ローンに比べて低く、貸倒引当金が過小となりかねない点も気にかかる。
これに対し金融監督院は、貯蓄銀行及び貸出募集人の現場検査に際し、事業者向け住宅ローンの取り扱いにおける適格性などを重点検査し、法令違反時に厳重に制裁する予定だと明らかにした。
特に住宅購入資金など事業外用途に使用するなどの違法行為が発生しないよう、格別の注意が必要だと説明した。
同院の関係者は「貯蓄銀行はこのような融資詐欺を防止できるように事業者向け住宅ローンの取り扱い時、与信審査及び事後管理を徹底的に行う必要がある」とし、「貸出募集人は募集活動を遂行する過程で関連法令を違反しないよう、適法な手続きを遵守しなければならない」と述べた。
また、「消費者は貸出募集人の助けを借りて融資を利用する場合、予想外の不利益を受けないように注意しなければならない」と付け加えた。
チョン・テヒョン記者