韓国で貯蓄銀行から資金流出…都市銀行に移動
韓国で、貯蓄銀行からの資金流出が観測されている。貯蓄銀行は銀行よりも高い預金金利で資金を確保してきたが、基準金利の引き上げを受け、銀行の預金金利が迫ってきているためだ。
預金金利の格差縮小で
KB国民・新韓・ハナ・ウリィ・NH農協の5大銀行の定期預金金利と貯蓄銀行圏の受信商品(12ヶ月)間の金利格差は、今月15日までに0.43%まで縮まった。
現在最も高い定期預金金利を提供するのは、ウリィ銀行の「ウリィ初取引優遇定期預金」で年3.6%だ。続いて、ハナ銀行の「ハナ定期預金」が3.3%、KB国民銀行とウリィ銀行の「KB Star定期預金」と「WONプラス預金」もそれぞれ3.2%と3%の年利が適用されている。
基準金利の引き上げ前まで、貯蓄銀行と都市銀行の定期預金金利の差は、0.5~1.0%の水準で維持されてきた。基準金利引き上げ基調が年末まで続くと予告され、貯蓄銀行より銀行が預金金利を一層引き上げたわけだ。
これを受け、市中資金のほとんどが比較的安全だと評価されている銀行に向かう可能性が高まった。韓国銀行によると、5大銀行の定期預金残高は、先月史上初めて700兆ウォンを超え、712兆4491億ウォンを記録した。これは去年の6月に比べて27兆3532億ウォン増えた数値で、前月の増加幅(5兆3191億ウォン)の5倍を超える水準だ。
貯蓄銀行は流動性の確保に困難が伴う見込みだ。特に融資に必要な財源のほとんどを預・積金など、受信資金に依存する貯蓄銀行の特性上、金利の魅力が落ちると資金停滞をもたらす可能性も大きい。
祥明大学のソ・ジヨン教授は「貯蓄銀行は金利競争力を除けば、利便性や商品の多様性の面で銀行と競争することは難しい。資金調達に問題が発生する恐れがある」とし、「新しい資金運営先を設ける必要がある。例えば、個人向け融資よりは中小企業を対象にした融資に注力して収益性を高めることで、差別化を図らなければならない」と話す。
一方の貯蓄銀行業界は、現在の金利格差は貯蓄銀行に打撃を与えるレベルではないという立場だ。
ある貯蓄銀行の関係者は「消費者の立場では貯蓄銀行に預金するのは投資に近い」と述べ、「貯蓄銀行が打撃を受けるには、銀行が提供する定期預金金利が貯蓄銀行と同じレベルまで上がらなければならないだろう」と述べた。
キム・スルギ記者