韓国で高金利預金から高齢者の「疎外」が深刻

韓国銀行(中央銀行)による基準金利の引き上げが続いていることを受けて、預・積金金利が上方調整されている。高い金利商品を求めて、お金を預け換える「金利ノマド族」が銀行に集まる中、高金利商品のほとんどが非対面でのみ販売されているため、デジタル環境に慣れていない高齢層の金融疎外問題が顕在化している。

年利5%の積金も登場

今年4月と5月に基準金利が0.25%ずつ引き上げられたのを受け、銀行が一斉に受信金利を引き上げ、年3%台の預金時代が到来した。積金の場合、優遇金利充足の可否によって、年5%台も登場した。

現在、ウリィ銀行の「ウリィ初取引優遇預金」は最高年3.1%(12ヶ月)、KB国民銀行の「KB Star定期預金」は最高年2.55%(36ヶ月)の高金利を提供し、新韓銀行とハナ銀行が扱う積金の金利は最高年5.0%(12ヶ月)となっている。

しかし、高金利の預・積金を利用するには、いくつかの「非対面制約」が伴う。銀行が高い利子提供のためのコスト削減を理由に、相当数の受信商品をインターネット、モバイルなど非対面チャンネルでのみ販売。優遇金利を条件に、オープンバンキング登録やモバイルバンキング振替実績などを求めているためだ。

デジタルサービスに不慣れな高齢者にとっては、高金利預金への加入は「絵に描いた餅」と言える。

銀行店舗が減少

国会政務委員会所属のオ・ギヒョン議員(共に民主党)が、昨年10月に国政監査で公開した「4大市中銀行の非対面金融商品の現況」によると、高齢者層(60代以上)の非対面の預・積金利用率は平均6.45%に過ぎない。

営業店で加入できる預金の平均金利は、加入期間12ヶ月で1%台後半となっており、非対面専用商品と比べ0.5%から1%ほど低い。積金の場合、オープンバンキング登録やモバイルバンキング振込実績など要件を満たす場合、多くが0.5~0.6%の優遇金利を提供する。

非対面金融商品に加入しないと、直接に銀行に訪れる不便さだけでなく、商品の選択幅が狭まり、優遇金利や手数料など金銭的な特典を受けることもできないわけだ。

金融当局は、金融産業の世代格差を縮めるために、高齢者層向けのデジタル金融環境造成ガイドラインを設けるなど努力を尽くしているが、非対面チャネルへの接近性を高めることだけに注力した方案は、実質的な商品利用差別の問題解決には役不足という指摘が出ている。

金融圏のある関係者は「新型コロナで非対面取引が増えるにつれ、銀行支店の数も減った。非対面チャネルが活性化されるのは避けられない」と言いながらも、「そんな中でも、オフラインに馴染んだ高齢者層のために、金融死角地帯を解消しなければならない。モバイルバンキングのユーザー環境の改善に集中するより、高齢者の目線に合わせてATM専用の預・積金開発などオフライン環境改善案が必要だ」と指摘した。

アン・ソユン記者