[寄稿]韓国政府、借り換えプログラム拡大の政策化が急務
ソ·ジヨン
祥明大学経営学部教授
今年9月に予定されている融資の満期延長や利子猶予措置が、再び延長される可能性がある。 特に、都市銀行に比べ信用度の低い借り手が取引する第2金融圏の貸出金満期延長および利子猶予措置は、不良債権化の危険性が大きいという点で憂慮される。
韓国政府は総量規制を通じて新規融資を厳しく抑制する予定だ。今年の新規融資の増加率を5-6%で管理するというのが政府融資規制の核心だ。しかし、既存融資のリスク管理政策は消極的に見える。満期延長や利息猶予措置の継続は、不良債権化を一時的に遅らせることはできるが、根本的な解決策にはならない。
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さらに、下半期にアメリカ連邦準備制度理事会の金利引き上げの前段階である資産購入の規模縮小(テーパリング)措置や韓国銀行(中央銀行)の基準金利引き上げの可能性も慎重に予想されている。 既存融資の不良債権化がさらに懸念される状況だ。さらに最近、自営業者に対する融資規模が850兆ウォンに達したことも懸念される。
自営業者は、売上げを通じたキャッシュフローが途切れると、債務の返済能力が顕著に低下する傾向がある。このため、満期延長と利子猶予措置の再延長よりは、不良債権化を回避するための特段の措置が必要だ。
現段階における最も現実的な代案は、借り換え融資プログラムを拡大実施することだ。借り換え融資プログラムとは、金融機関から貸付を受け、既存債務の延滞を解消する制度のことである。既存の高金利融資から低金利融資に乗り換え、延滞債務を長期融資に変更して分割返済できるよう支援する。
しかし、政府の政策資金だけで多くの借主の高金利融資、延滞債務を低金利融資や分割返済可能な長期融資に切り替えるのには限界がある。 結局、民間金融機関による借り換え融資プログラムの拡大供給を支援する政策が望ましい。
政府は、金融機関とフィンテック企業が共同参画する借り換え融資プラットフォーム事業を推進している。しかし、金融会社がプラットフォームに参画するのに伴って発生する、フィンテック企業に対する仲介手数料の水準を巡り、意見衝突が生まれている。
そして、フィンテック企業への従属可能性を懸念する金融機関の積極的な事業参加も、期待し難い状況だ。代案として、金融機関のプラットフォーム構築を通じた借り換え融資プラットフォーム事業の推進案も出ている。
政府は速やかに融資商品が発売・拡大されるよう金融機関を積極的に支援すべきだ。既存の高金利融資から低金利に乗り換えられる商品を発売する金融機関に対する多様なインセンティブを提供する政策措置も急を要する。
また、借り換え融資商品を積極的に発売する金融機関に対する規制緩和インセンティブ政策も考慮すべきだ。低金利融資への切り替えにより、借主の返済能力向上を根拠に信用(貸し倒れ)リスクが一定程度、低下したと判断できるからだ。
新型コロナウイルスによって急速に増えた融資の大きな部分が、低信用借主の生計型融資または自営業者の事業資金融資であるという点で、不良債権化の懸念を持たれている。融資の不良債権化が金融機関の不健全化につながる場合、預金者の被害につながりかねないことに留意しなければならない。
借り換え融資プログラムの提供主体である民間金融機関に対し、積極的な事業参加を誘導するための政府の効果的な対策作りが急務だ。