韓国金融圏、9月に最大37兆ウォン焦げ付きも
韓国銀行圏の健全性指標に赤信号が灯った。9月に新型コロナ金融支援措置が終わると同時に、37兆ウォン規模の不良債権が発生し得るとの見方もある。ただ、金融当局に動揺は見られない。
貸倒引当金、2.5倍積み上げ
KB国民・新韓・ウリィ・ハナ・NH農協の5大銀行の先月のウォン建て融資延滞率(1カ月以上元利金延滞基準)は、平均0.304%だった。
前月(0.272%)より0.032%ポイント、昨年同月に比べると1年間で0.118%ポイントも増加した数値だ。
貸出先ごとに見ると、家計(0.270%)と企業(0.328%)の延滞率は、1カ月間でそれぞれ0.032%ポイント、0.034%ポイント上昇し、前年同月比ではそれぞれ0.116%ポイント、0.118%ポイント上昇した。
4月の新規延滞率は平均0.082%で、前月と前年同月より各0.008%ポイント、0.04%ポイント高まった。新規延滞率は、当月の新規延滞発生額を前月末の貸出残高で割ったもので、新なた不良債権の増減推移を示している。
不良債権比率を示す固定以下与信(NPL)比率も、5大銀行では3月に平均0.242%から4月0.250%に1カ月ぶりに0.016%上昇した。
ある銀行関係者は「延滞率とNPL比率が大幅に増えた。ここ5年では最悪の水準」とし、「基準金利引き上げ、景気鈍化、輸出減少など色々な悪材料が借主の償還能力を弱めている」と分析した。
軟着陸プログラム
問題になるのは、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた小規模商工人・自営業者に対する貸出満期延長・返済猶予措置が来る9月に終了する予定だということだ。
5大銀行の「新型コロナ金融支援実績」資料によれば、2020年に金融支援を始めて以降、今月まで満期延長・元金償還猶予・利子猶予重複などの形態で償還が猶予された貸出件数は計25万9594件で、残高は36兆6206億ウォンに達する。
小規模商工人や自営業者らはこれに加え、金利が低い住宅担保ローンなどで追加資金を借り入れている可能性も高いと見られる。
こうした状況に対しても、金融当局は特に問題視していないもようだ。
金融監督院の関係者は「銀行は四半期末に不良債権の売却を実施する。延滞率は四半期末を経て下落する傾向があるので、底入れ効果により4月の延滞率が急伸する見え方が生まれた」と説明した。
続けて「銀行は9月の金融支援終了の時点に合わせて、自主的な軟着陸プログラムを実施する予定だ。不確実性を保守的に反映して備えてほしいという当局勧告に従って、引当金も十分に積み上げてある」と付け加えた。
一方、KB・新韓・ウリィ・ハナ・農協など5大金融持株は今年第1四半期、貸倒引当金として、前年同期より2.5倍多い2兆270億ウォンを積み上げた。
アン・ソユン記者