韓国「借り換えプラットフォーム」で金利引き下げ競争を誘発か
政府主導のもと、「借り換えプラットフォーム」の発足が具体化する中、金融消費者の「金利引き下げ要求権」活性化への期待も高まっている。借り換えローンによる顧客離れを懸念した銀行は、金利引き下げ要求権に、より積極的に応じる見通しだ。
「引き下げ要求権」活性化へ
金融業界によると、金融委員会は8月中に、「革新金融事業者」に指定された12社のフィンテック企業を対象に、借り換えプラットフォーム事業者の募集公告を出す方針だ。
金融委が推進している借り換プラットフォームとは、金融業界の全ての融資商品を、モバイルアプリケーションなどを通じて、一度に比較できるサービスだ。
現在は個別の銀行、第2金融圏別に融資承認の可否、限度額・金利などを消費者が確認しなければならない。借り換えプラットフォームが構築されれば、借主は金融機関を訪問する必要がなく、アプリで既存の融資を解約し、新たに融資を申請ができる。
よって、各銀行は独自の借り換えプラットフォームを構築することにした。しかし、各銀行がフィンテック企業の融資比較システムに網羅された場合、フィンテックと無条件的に提携を結び、全体の融資商品情報を公開しなければならないというのが負担になっていた。
金融委は予定通り、今年10月に借り換えプラットフォームを発足させた後、銀行圏の独自融資の金利比較システムを追加で連携させる案などを検討している。
借り換えプラットフォームの発足を巡り、各銀行の緊張が高まっている。
2019年に法制化
他行から融資を受けた顧客を呼び込むため、他行より0.01%でも低い金利を提示するなど、銀行間の過度な金利競争が起こりかねないからだ。 特に都市銀行は、地方銀行に顧客を奪われるのではないかと恐れている。
このため一部の銀行は、これまで消極的に対応してきた消費者の「金利引き下げ要求権」に、態度を変えるだろうと予測されている。
各銀行は借り換えプラットフォームで競争力を確保するため、マージン率を下げながら金利を低く提示するよりは、信用状態が好転した顧客の融資金利を先に引き下げた方が収益面で有利だという判断をしている。
金利引き下げ要求権とは、融資を受けた人が就職や昇進、財産増加などで信用状態が改善した際に、金融会社に融資金利の引き下げを要求できる権利だ。
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金利引き下げ要求権は2019年6月に法制化した後、次第に活性化されたものの、主要銀行が依然として金利引き下げ要求権の案内に消極的だという評価が出ている。銀行のほとんどが、顧客が融資を約定したり、延長したり、条件変更をする際に金利引き下げ要求権制度を説明する程度にとどまっている。
国会政務委員会所属の野党「国民の力」の尹斗鉉(ユン・ドゥヒョン)議員が金融監督院から提出を受けた資料によると、昨年1―10月に4大銀行に対して金利引き下げ要求権を行使し、金利引き下げの恩恵を受けた顧客は計1万9784人だった。
銀行別の金利引下げ要求権の受け入れ率(受け入れ件数/申請件数)は、ウリ銀行が72.7%で最も高く、ハナ銀行53.2%、国民銀行46.7%、新韓銀行43.2%の順だった。
金融業界のある関係者は「借り換えプラットフォームが登場すれば、金融機関を直接訪問する手間がかからず、融資金利の比較、照会が簡単になり、金融消費者が現在保有する融資の条件より有利な融資を探索するのが容易になると思われる」と述べた。
続いて「借り換えローンは、金融消費者はもちろん、競争力のある融資商品の発売を通じてシェアを拡大するなど金融機関にもプラスの機会になり得るが、副作用を警戒する必要もある」とし、「金融機関の立場から特に懸念される部分は既存顧客の離脱だが、これを防ぐためには金利引き下げ要求権の案内など積極的な対応が求められる」と話した。
アン・ソユン記者