【コラム】韓国特有の「チョンセ」と「ギャップ投資」

「チョンセ(伝貰)」は、韓国特有の住宅賃貸の仕組みだ。高額な保証金で住宅の居住権を取引する韓国独特の仕組みだ。借り手は、家主に保証金を預けて居住権を確保する。保証金は数千万円と高額だが、月々の家賃は発生しない。保証金は、契約終了時に借り手に全額返還される。家主は、受け取った保証金を運用して利益を上げる。

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韓国の首都圏では、チョンセで暮らす家庭が2割に上るとも言われる。韓国にもウォルセといって月極家賃の賃貸住宅もあるが、住宅購入やチョンセ物件に手が届かず「仕方なく」選択するものとみなされる傾向がある。韓流映画やドラマでも、ウォルセの住宅に暮らす家庭の子供が、いじめられる場面などが見られる。

「ギャップ(GAP)投資」は、このチョンセの仕組みを活用した不動産投機の手法だ。投資家はチョンセの保証金を当て込んでマンションなどを購入する。チョンセは物件価格の6~8割にもなるから、投資家は差額のみ自己資金やローンで賄えば済み、物件の価格上昇後に売却して差益を得る。

大韓金融新聞東京支局