業務時間の株式投資…都市銀行とネット銀行の対照的な姿
韓国で顧客のお金に手を出す銀行員の横領事故が絶えない中、インターネット銀行は何ら事故防止策も設けていないことが分かった。都市銀行が銀行員の株式、仮想通貨(仮想通貨)投資を厳しく管理しているのとは対照的だ。
都市銀行、社規で厳禁…行員倫理を強調
都市銀行のほとんどは業務時間中の私的な株式投資を社規で禁じている。銀行の業務用パソコンからは証券会社のホームページにもアクセスできない。
A銀行の場合、資本市場法上、保有株式を定期的に申告しなければならないファンド関連資格を取得した行員や、企業金融、与信担当、戦略室に所属して未公開情報の利用関連規制を受ける行員のみならず、全行員に対し、株式売買の際の取引内訳を提出するよう勧告する自主規制を行っている。
韓国の都市銀行は最近、仮想通貨への投資にも厳しく伝えた。業務時間中の仮想通貨取引禁止および投資のための過度な金銭借入の自制と、収益を誇示して同僚に相対的な剥奪感・投機心理を誘発する行為の禁止などだ。さらに、24時間休まず取引できる仮想通貨市場の特性も考慮し、業務時間外にも投資を自制するよう呼びかけた。
ただし韓国では、仮想通貨は株式と違って資本市場法上、金融投資商品として認められていないので、直接制限する根拠がない。これを受け、都市銀行は別途の社規を設ける代わりに、内部公示事項を通じて、全行員に関連内容を告知した。
銀行員の投資活動に徹底的な自主規制を行う理由は、もし財産上の損失が発生すれば、顧客の金を流用するなど、銀行員としての倫理に反する恐れがあるという懸念のためだ。また、証券市場の運営時間が銀行の業務時間と同じで、過度な売買欲が業務への集中度を低下させかねないということもある。
昨年の国政監査期間に与党・共に民主党の李楨文(イ·ジョンムン)議員が公開した資料によると、銀行員が横領して株式や仮想通貨などに投資した金融事故の被害額は、この5年間で4800億ウォンにのぼる。このうち、銀行の内部監査を通じた事故の摘発処理は平均32%だった。
ネット銀行「権利侵害できない」
しかし、ネット銀行の場合は状況が違う。「勤勉・誠実な姿勢で勤労し、担当職務を遂行しなければならない」という包括的概念の倫理綱領があるだけで、職員の投資行為を直接的に制限する条項は設けられていない。
都市銀行が仮想通貨ブームに投資自制令を出した時も、インターネット銀行は何の措置も取らなかった。
インターネット銀行のある関係者は、「都市銀行と違い、インターネット銀行はその特性上、行員の60%以上がIT開発職群だ。相対的に顧客や銀行のお金を直接扱う職員が少ない」としながら、「発生の可能性が少ない金融事故防止のため、全職員の投資権利を侵害することはできないと考えている」と述べた。
続いて「内部的に管理策を設けるとしても、無計画にただやってはいけない、というような内容が、実際に職員の私的領域である過度な投資を防げるかも未知数だ」と付け加えた。
一部では、都市銀行の株式・仮想通貨投資自制令は現実を反映していないと、反感を示す声も出ている。低金利・低成長時代に財テクが身近な日常になった状況で、個々人の株式投資活動に制約を置くのは行き過ぎとの指摘だ。
A銀行の関係者は「一般行員に対する株式と仮想通貨投資の自制は自律事項だが、関連する社規があるというだけでも負担になるのは事実だ」とし、「同僚と株式情報を共有する話さえ、周りの目をうかがっている」と述べた。
さらに「内部情報を利用して不当利益を得る可能性がある社員の場合、株式取引行為を徹底的に禁止する必要があるが、その他の社員まで事故発生の潜在要因と見るのは変更すべき部分だと思う」と付け加えた。
アン・ソユン記者