韓国の銀行業界、企業向け融資の不良債権化に懸念
韓国の銀行業界が家計融資規制による業績不振を補うための方策として、企業向け融資に目を向けている。
その一方、企業与信の不良債権が増加し、今後、国内景気が悪化しかねないという見通しもあり、銀行の体質悪化につながる恐れに対して懸念の声が出ている。
史上最大幅の増加
先月末時点での銀行業界の企業向け融資残高は計1068兆4000億ウォンと、昨年11月(982兆ウォン)より、86兆4000億ウォン増加した。関連統計を取り始めた2009年6月以降、最大幅の増加となった。
一方、先月の銀行業界の家計向け融資残高は1060兆9000億ウォンと、1カ月前より3兆ウォン上昇した。10月の増加額(5兆2000億ウォン)より減っており、先月に続き2カ月連続で増加幅が縮小した。
これは、韓国政府の強力な家計融資への圧迫を受け、各銀行が信用貸付の限度額を、借主の年間所得以内に制限したり、優遇金利の縮小や金利引き上げたりして、融資需要を抑制してきた影響だと見られる。一部の銀行は、信用貸付や住宅ローンなど主要融資の販売を中止もした。
問題は、来年1月に基準金利の引き上げがもう一度予告されていることだ。借主の融資返済への負担が増している上、オミクロン株の影響で韓国国内景気の流れに赤信号が灯り、企業向け融資が不良債権化する可能性が拡大する。
さらに、企業の不良債権の割合が高まっている現状の中、各銀行の企業向け融資への依存は当分続くものと見られる。政府が来年の家計向け融資の総量規制を、前年比増加率で6%台から4~5%台に強化することを決めたからだ。
不良債権の86.2%
金融監督院によると、国内銀行の今年第3四半期の不良債権11兆9000億ウォンのうち、企業与信の比重は10兆3000億ウォンで全体の86.2%を占めた。
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ある金融界の関係者は「来年も1回の利上げが予告され、借主が払わなければならない利子費用も高くなると予想される。所得が減り、固定費が増えれば返済能力がかなり低下するしかない」としながら「営業利益で利子を返せないゾンビ企業が多く増え、負債比率もともに大きくなっている。潜在不良化が現実になれば、銀行の企業向け融資の健全性にも打撃があるだろう」と述べた。
イ・ジウン記者