韓国金融委員長「今年の家計債務増加率、4~5%台に」
韓国の高承範(コ・スンボム)金融委員長が「韓国経済の最大のリスク要因である家計債務の管理強化を一貫して推進する」としながら、「2022年の家計債務の増加傾向を4~5%台へ正常化する」と表明した。
同員長は2022年の新年の挨拶を通じ、「金融安定と金融発展、経済成長の3つの課題が調和を成す礎石を築き、包容金融基調を拡散させることに注力する」と明らかにした。
「不確実性」警戒
高委員長は「新型コロナウイルス危機とグローバル緊縮転換など、市場リスクと不確実性が高まっている」と診断し、「デジタル・プラットフォーム化、ビッグテックおよびフィンテック発の革新など産業構造変化にも機敏に対応しなければならない」と述べた。
このため金融委員会は、金融安定システムの維持、金融躍動性の向上および金融発展の誘導、実体支援の強化、包容金融の拡散に力を注ぐ計画だ。
高委員長は特に、家計債務管理の重要性を強調した。また、総量管理に基盤を置きつつ、システム管理を強化し、家計債務の増加傾向を平常値である4~5%台にする方針を打ち出した。個人事業者向け融資も、借主の経営・財務状況を精密に点検し、軟着陸へと誘導する計画だ。
また、分割返済・固定金利の融資の割合を高める一方、庶民・脆弱(ぜいじゃく)階層に対する保護措置を並行し、新型コロナウイルス対応のための「175兆ウォン+α」プログラムも正常化していくことを明らかにした。金融のダイナミズムを高めるため、革新と競争を促し、規制システムも整備もする方針だ。
高委員長は「銀行と保険など金融会社が新事業に進出し、多様な事業モデルを営めるよう業務範囲などを幅広く拡大する」と言いながら、「人工知能(AI)活用のためのインフラを構築してマイプラットフォーム導入を積極的に推進するなど、金融のデジタル転換も一層強化していく」と話した。
そして、金融委は今年、200兆ウォン規模の政策金融供給による実務支援の強化にも取り組む。
2022年内に「ニューディールファンド」を4兆ウォン規模で持続的に造成し、ニューディール分野の政策金融を約18兆4000億ウォン+αに拡大することにした。ESG公示・投資も積極的に誘導し、実物経済の構造的な転換を後押しする考えだ。
続いて、包容金融の拡散に向け、10兆ウォン規模の政策庶民金融を供給し、信用回復の支援範囲も拡大する方針だ。
高委員長は「青年希望積金、青年型所得控除長期ファンドなどを導入して、青年層の資産形成・管理を支援する」としながら「脆弱借主に対して合わせた支援を強化する」と説明した。
金融消費者にやさしく
金融消費者保護のため、金融システム全般と金融慣行を金融消費者にやさしい方法で改善し、高金利・不法取立てなど闇金融、振り込め詐欺を根絶する計画だ。
資本市場の不公正取引を遮断するため、多様な制裁手段を導入し、仮想資産などのマネーロンダリング防止管理も強化することにした。
高委員長は新型コロナウイルスの再拡散とグローバル緊縮転換など経済的変数のほか、米中対立と韓国大統領選挙の日程など政治的な変数が常に存在している点についても言及した。
高委員長は「警戒心を緩めずに国内外の市場動向を注視し、最悪の状況に備える」とし「内外の衝撃に脆弱な経路を点検し、非常対応措置も準備する」と説明した。
続いて「韓国銀行(中央銀行)や金融監督院など、関連機関とともに協業体系を強固にする」とし、「個別機関の利益を前面に出したり消耗的な葛藤・論争で政策協調を阻害したりしないよう留意する」と付け加えた。
アン・ソユン記者