韓国損保「ペット保険」活性化に期待…新政権が国政課題に
韓国で今月10日に発足する尹錫悦(ユン・ソギョル)政権がペット保険の活性化を国政課題のひとつに掲げ、これまで制度整備の遅れから成長が鈍かったペット保険市場に関心が集まっている。
大統領職引継ぎ委員会が3日に発表した「尹錫悦政権110大国政課題」には、オーダーメイド型ペット保険の活性化が含められた。活性化方案としてペット登録制、簡易な保険金請求システムを構築する方針だ。
現状の加入率0.4%
損害保険会社はこれまでにもペット保険市場の活性化に取り組んできたが、なかなか市場を拡大できなかった。農林畜産食品部の推算によると、2020年基準で860万匹のペットのうち保険に加入した動物は3万3000匹で、加入率は0.4%の水準だ。
国内ペット保険市場で最も多く販売されているメリッツ火災のペット保険だけを見ても、第1四半期の新契約締結件数は4400件程度だ。前年同期比1000件ほど増えたが、ペット市場の成長傾向を考慮すれば、成長が依然として遅い。
今回、国政課題にペット保険が含められたことで、損保各社は再び期待感を示している。ペット保険を普及させる上で最も大きな障害物となっていたのは高額な保険料だが、ペット登録率が高くなれば一部保険料の引き下げ効果があると予想されるからだ。
「登録制との連携が重要」
ペット登録制とは、ペットの保護と遺失・遺棄防止のための制度だ。登録の際、ペットの体内に動物用医療機器である内蔵型無線識別装置(マイクロチップ)を挿入したり、外装型無線識別装置を付けたりする方式で行われる。しかし、複雑な行政手続きと広報不足のために、実際の登録率は40%を下回っているのが実情だ。
ある保険業界の関係者は「ペット登録制の活性化は、市場拡大の基盤になる」としながら、「過去にはモラルハザードから、重複請求件が多く損害率が悪化したりもしただけに、登録制が定着すれば保険料が低くなる効果があるだろう」と述べた。
実際、メリッツ火災はペット保険加入時に登録証を提示すれば、保険料を2%ほど引き下げている。
ペット登録率が低いと、保険会社は適正保険料率算出のためのペット品種別の危険率データの統計も集積しにくい。さらに現在、動物病院ごとに診療項目・報酬が標準化されておらず、ペット保険において保険料を算定するのにも苦労している。
ある保険会社の関係者は「ペット保険活性化のために最も急務なのは動物の診療報酬制の標準化だが、実現性は高くなさそうだ」として、「登録と同時に保険に加入できる連係システムを構築するならば実効性をいっそう高めることができるだろう」と話した。
ユ・ジョンファ記者