「ピットゥ」急増…韓国証券会社、信用取引の利上げ検討
証券会社が、信用取引融資の利率に関して上向を検討し始めた。
韓国銀行(中央銀行)の基準金利引き上げが続ければ、証券会社もこれに合わせ、融資金利の引き上げが避けられないという立場だ。よって市場では現在、年平均7%半ばから後半の証券会社の融資利率が今後、8%を超えかねないという見方が出ている。
利子利益、過去最大
金融投資業界が30日まで集めた情報によると、証券会社が融資金利決定の基準とするCD(譲渡性預金証書)金利は26日、韓国銀行の基準金利引き上げの影響で0.77%から0.92%に0.15%上昇した。
証券会社は、今回の韓国銀行の基準金利引き上げは、販売中の融資金利にただちに反映されるものではないと説明している。しかし、基準金利が繰り返し引き上げられれば、信用取引融資の金利も結局、引き上げざるを得ない。
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証券会社の融資金利は、銀行やカード会社など他の金融機関に比べ、格段に高く策定されている。個人投資家の信用取引融資の残高を、利子収益で計算した証券会社の利率は、昨年の平均7.58%から今年の上半期には7.66%に上がった。
最大約10%
信用取引融資の利率は、利用期間が長くなるほど、徐々に高く適用される。
証券会社別に見ると、韓国投資証券バンキーズ信用の利率は◇7日以内4.90%◇15日以内7.50%◇30日以内8.50%◇60日以内9.50%――へと引き上げられる。60日を超過すれば9.90%、延滞利率は年9.95%に達する。
サムスン証券支店・銀行連携信用融資の利率は◇7日以下4.9%◇15日以下7.0%◇30日以下7.5%◇60日以下7.9%◇90日以下8.6%◇90日超過9.3%――などと高くなる。非対面口座は期間別にそれぞれ0.6%高い利率が適用される。
NH投資証券のナム口座の場合、1~7日間の4.5%から、8~15日間は7.2%に引き上げられる。16日以上の金利は9.3%に達する。
証券業界の関係者は「一度の基準金利引き上げで直ちに利上げはしないが、韓銀が追加で引き上げを行うシグナルを強く送っていることを考慮し、証券会社は融資利子の上向修正を検討している」と述べた。
8%台に上昇も
続けて「基準金利とさまざまな変動要因を総合的に検討し、利率引き上げの可否を判断する」としながら、「基準金利の引き上げと金融当局の融資規制圧迫が続けば証券会社の利率は7%後半を超え、8%台まで上昇する可能性があるという見通しが出ている」と付け加えた。
証券市場の上げ相場が続けば、高い金利による投資家の負担は少ないだろうが、証券市場の変動性が拡大する状況では、株価下落による損失とともに、利子負担が大幅に膨らむこともありうる。
新型コロナウイルス事態以降、個人投資家の「ピットゥ(※1)」ブームが起こり、国内証券市場の信用取引融資規模は8月18日に過去最大値(25兆6100億ウォン)まで跳ね上がったが、26日には24兆4600億ウォンに小幅減少した。それでも昨年同期(15兆6400億ウォン)より56%急増した水準を維持している。
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【注※1】「ピッ(借金)」と「トゥジャ(投資)」を合わせた造語で、借金して株式などへの投資を行うことを言う。
市場不安の「引き金」
これに対し、証券会社が今年上半期に稼いだ利子収益は、すでに昨年の年間利子収益(9970億ウォン)の85.5%を超え、半期基準で過去最大となった。従来の最高記録だった昨年下半期(6330億)の1.5倍に達する。
証券市場が追加調整を受ける場合、反対売買が急増し、信用融資が証券市場不安のもうひとつの引き金になりかねないという指摘が出ている。反対売買とは、証券会社が強制的に株式を処分する事を意味する。
資本市場研究院のファン・セウン研究委員は「自分のお金で投資した場合、株価が期待ほど上がらなくても長期投資に転換して株価上昇を待つことができるが、『ピットゥ』をした投資家は長期投資のように戦略を変えることはできない」としながら、「投資家が『もう株価が大幅に下がったのだから、そろそろ反発するだろう』という拙速な判断でピットゥに乗り出すのは危険だ」と指摘した。
アン・ソユン記者