韓国の銀行、仮想通貨取引所と契約を延長…不安感は残存

ケイバンクとNH農協銀行、新韓銀行が4大仮想通貨取引所との実名確認入出金勘定(実名口座)発給再契約を終えた。

預り金の確保や手数料の利益などのメリットと、さまざまな事故発生のリスク負担を考慮した結果、取引所と提携することにした。しかし銀行は、これが適切な選択だったかどうかを巡り、依然として不安を抱えている。

マネロン防止、厳格化対応で苦慮

金融界によると、ケイバンクがアップビートと再契約したのを皮切りに、NH農協銀行(ビッサム、コインワン)と新韓銀行(コビット)が仮想通貨取引所に実名口座発給の確認書を発給した。

銀行と契約関係を維持することになった仮想通貨取引所は「廃業の危機」の懸念から、少し遠のくことになった。

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今年3月に改正された特定金融情報法に基づき、銀行の実名口座と連動しない仮想通貨取引所は、ウォンマーケット(ウォン貨の入出金取引)の運営を中止し、コインマーケット(仮想資産間の取引仲介)だけを運営しなければならない。コインマーケットの取引量が極めて少ないということを勘案すれば、ウォンマーケットのない取引所は事実上、営業が不可能になる。

実名口座、前年比5倍増

国民の力の尹昶鉉(ユン・チャンヒョン)議員が金融監督院から提出を受けた資料によると、3行(ケイバンク、NH農協、新韓銀行)の仮想通貨取引所の実名口座の発給部数は今年6月末現在で676万8078件だ。昨年末の133万6425個から5倍を超えている。

実名口座関連の預り金は7兆ウォン台で、これも昨年末の1兆7500億ウォンに比べて4倍以上増加し、銀行が徴収した手数料収入は169億700万ウォンに達するものと集計された。

銀行は仮想通貨取引所との提携で多くの収益を得たが、関係を維持するための要件として、マネーロンダリングに対する厳格なリスク評価を進めた。

最近、仮想通貨市場の過熱で相場が変動する度に、取引締結の遅延、入出金エラーなど事故が相次いでいた。さらに、特定金融情報法の導入で、実名口座の発給銀行に対するマネーロンダリング防止(Anti-MoneyLaundering=AML)管理の責任が増大し、メリットよりリスクを警戒せざるを得なかった。

各銀行は厳しい評価基準を通過した仮想通貨取引所と契約を延長したが、それでも不確実性は高い。実名口座の発給契約期間を6カ月という短い期間に抑えたからだ。

銀行界の関係者は「韓国政府が仮想通貨投資家の保護などの目的を遂行するため、取引所に実名口座の開設を義務付けたが、この措置が実際に実効性を持たない場合は、実名口座の管理に伴う責任と負担がすべて銀行に転嫁される可能性も排除できない」と述べた。

続けて、「銀行連合会を中心に各銀行がまとめた評価指針に基づき、取引所の情報保護管理体系の認証や顧客別取引内訳の管理体系、外部からのハッキング発生履歴などを調べて検証したが、これが実名口座発給に対するリスク負担を減らすか確かでない」と付け加えた。

韓国政府「責任は銀行に」

これに対し、銀行圏では金融当局に実名口座発給関連の免責基準を設けてほしいと再度要求してきた。しかし、当局は問題発生に対する1次的な責任は銀行にあることを強調し、きっぱり断った。

一部では、仮想通貨に対する規制が実効性を高めるためには、銀行や投資家が仮想資産取引所に対して返還請求権を行使できるようにすべきだという主張が出ている。

韓国金融研究院のキム・ドンファン先任研究委員は、「ビットコインなどブロックチェーンを活用した仮想資産は秘密鍵を保有しなければ送付することができず、秘密鍵を保有する取引所が顧客口座の仮想資産を紛失、任意処分または破産した場合、返還請求権が認められないので投資家の保護が難しくなる可能性がある」と指摘した。

続いて「世界的な投資家保護、マネーロンダリングとテロ資金流用防止などのための仮想資産規制は主に取引所に対する規制」としながら、「投資家保護を目的とする場合、返還請求権などの行使可能性に焦点が当てられている」と説明した。

キム研究委員は「取引所を相手に銀行や顧客が資産の返還請求権を行使できなければ投資家保護は難しくなる」とし、「返還請求権行使は実名口座管理に伴う責任と負担が銀行と顧客に転嫁されないための必要条件だ」と付け加えた。

アン・ソユン記者