韓国の都市銀行、外貨融資が拡大…不良債権化の懸念

韓国で主要都市銀行の外貨融資が持続的に拡大している。アメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の早期緊縮政策や新型コロナウイルス・オミクロン株の出現で為替の変動性が高まる中、膨らむ外貨融資残高が銀行の不良債権の増大につながるとの懸念が出ている。

2019年比で20%増加

金融監督院によると、今年第3四半期の4大都市銀行の外貨融資の残高は66兆3260億ウォンと、2019年第3四半期(55兆741億ウォン)より20.43%増加した。

同期間、銀行別に見ると、国民銀行が9兆8206億ウォンから15兆3459億ウォンで最も大きく増えた。続いて、新韓銀行(12兆6910億ウォン→16兆4355億ウォン)が3兆7445億ウォン、ウリィ銀行(13兆4667億ウォン→14兆8568億ウォン)が1兆3901億ウォン、ハナ銀行(19兆958億ウォン→19兆6878億ウォン)が5920億ウォン上昇した。

外貨融資は、外国為替銀行が特定目的の融資を外貨で提供する仕組みだ。融資対象の大半は、外貨資金が必要な海外進出企業や、国内での設備投資資金を外貨融資で調達する企業だ。

新型コロナウイルス事態の影響で、資金難に苦しむ輸出入企業の融資需要が増加した。これは為替の上昇に備えるため、ドルを前もって確保して置く企業が多くなったと分析されている。

これに加えて、各銀行が新たな成長エンジンとしている海外の店舗や法人で営業した融資も、影響を及ぼしたものと見られる。ウリィ銀行の場合、今年第3四半期の海外法人の当期純利益は、前年同期比64.4%増の1309億ウォンを記録した。

問題は、インフレーション(物価上昇)への懸念を受けてFRBの緊縮のスピードが速まり、オミクロン株による不確実性の増大で金融市場内の安全資産を好む傾向が強まって、ドル相場が上昇の勢いに乗り始めたことだ。年明けには1100ウォン台水準だったドル相場は、先月1200.4ウォンまで高騰するなど、1200ウォン台に近づいている。

自己資本比率にマイナス

外貨融資の残高が上昇すれば、銀行の危険加重資産(融資したお金をリスクに応じて計算しなおしたもの)も大きくなる。銀行の資本健全性を評価する代表的な指標であるBIS規制の自己資本比率は、自己資本を融資や外貨資産が含まれた危険加重資産で割った数値だ。分母の危険加重資産が増えれば自己資本比率は減る構造だ。比率が低いほど自己資本が少なく、危険加重資産が多いため、金融会社の不渡り危険性が高いことを意味する。

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金融圏のある関係者は「新型コロナウイルスの影響で経営難に直面している輸出入企業の融資需要が集中した影響だ」としながら、「ドル相場は昨年末以降から現在まで100ウォン以上も上昇し、今後は外貨を確保しにくいと判断した企業の仮需要も作用したものとみられる」と述べた。

また「外貨融資の残高が増加すれば銀行の危険過重資産も増加し、これは自己資本比率の下落を誘導することになる」とし、「金融機関としてはリスク管理を徹底的に行わなければならない危険シグナルとして認識しなければならない」と付け加えた。

イ・ジウン記者