韓国銀行、住宅ローン中断も…融資規制いっそう厳しく
韓国の銀行が相次いで融資を制限している。家計貸付の増加率が金融当局の目標値に近づいたためだが、すぐに資金が必要な需要者までが融資を受けにくくなっている。
KB国民銀行が29日から、家計貸付の総量の管理として、住宅ローンやチョンセ『(※1)』資金融資、集団融資などに新たな限度基準を適用することを決めた。
【注※1】「チョンセ」とは韓国特有の住宅賃貸の仕組みである。保証金を預かって他人の家を借りた後、契約期間が終われば保証金を返してもらう住宅賃貸借の類型を意味する。
家計債務管理、庶民にシワ寄せ
住宅ローンではモーゲージ信用保険(Mortgage Credit Insurance=MCI)、モーゲージ信用保証(Mortgage Credit Gurantee=MCG)への加入が制限される。
MCIとMCGは住宅ローンと同時に加入する保険だ。この2つの保険に加入した借主は、住宅ローン比率(LTV)同様の融資を受けることができるが、保険がなければ、小口賃借保証金を差し引いた金額のみ融資が可能だ。この制限で、ソウル地域のマンションの場合、5000万ウォンの融資限度枠の縮小効果が現れる見通しだ。
チョンセ資金融資の最大限度は「賃借保証金(チョンセ金)増額範囲内」に縮小される。集団融資のうち、入居残金融資の担保基準も「KB相場または鑑定価格」から「分譲価格、KB相場、鑑定価格のうち最低金額」へと変更される。
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さらに、信用融資やチョンセ資金融資、住宅ローンに共通している部分では、他行からの融資を国民銀行の融資に乗り換える借り換えは禁止される。
NH農協銀行は8月23日から、住宅ローンなど住宅関連の新規融資を中断している。ウリィ銀行は低い金利が適用されていた一部の不動産融資と信用融資商品の販売を11月末まで一時的に中断した。
また、NH農協銀行やハナ銀行、国民銀行、ウリィ銀行、新韓銀行などの主要都市銀行は、8月から個人信用融資の限度を年間所得の100%に調整した。
「チョンセ」需要に打撃
このように銀行が家計貸付の限度を大幅に下げたのは、今年の家計貸付の前年比増加率が金融当局の総量規制目標値である5~6%に達したからだ。
国民銀行の家計貸付の伸び率は、8月末現在で3.62%だったが、今月16日基準では4.37%と、2週間で大幅に上昇した。NH農協銀行やハナ銀行の家計貸付の伸び率はすでに5%を超え、それぞれ7.4%と5.04%に上っている。新韓銀行とウリィ銀行の家計貸付の増加率はそれぞれ2.83%、3.9%で、まだ4%を下回っているが、予断を許さない状況だ。
年末まで各銀行による強力な融資制限が続く可能性が膨らみ、実需要者らの懸念も高まっている。特に、最近の家計貸付増加の直接的な原因が、実需要者の割合が高いチョンセ融資であることが分かった。よって、該当商品の敷居まで高くなった場合、そのまま実需要者へのダメージにつながりかねないからだ。
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銀行界のある関係者は「銀行の家計貸付伸び率が、金融当局が提示した管理目標値に迫っている状況だ。最近の推移を考慮すれば、今年11月には目標値を上回る計算になる」と述べた。
続けて「家計貸付総量の管理するための金利引き上げ、限度額引き下げ調整および一時的な販売中断は避けられない措置」だとし、「チョンセ融資など、実需要者が本当に必要なだけの融資を受ける上で困難が生じないよう、基準を設けるために努力している」と付け加えた。
アン・ソユン記者