韓国政府の「融資事前審査制」銀行の共感得られず

韓国の金融当局は、家計向け融資の管理体系を充実させるために「融資事前審査制」を導入したが、実施主体である銀行から必要性について共感を得られず、形式的な様式行為に転落している。

韓国の銀行は、今年から家計向け融資を扱う際に、事前審査で「業界共通チェックリスト」を活用ですることになった。

金融当局は昨年10月、「家計融資管理強化案」を発表した。金融機関が融資を取り扱う際に金融消費者保護法上の販売規制である適正性・適合性原則を厳重に適用するためのガイドラインだ。略奪的金融の被害を早期に遮断し、マクロ的には、家計債務をこれ以上景気浮揚の手段として利用できないようにするのが目的だ。

事前審査のチェックリストには◇資金使途◇総資産および債務規模◇年間所得対比固定支出規模◇融資返済の種類などが含まれているという。金融消費者保護法の施行後、銀行連合会を中心に銀行が独自に運営している適正性·適合性の確認手続きのうち、模範事例を選別して設けた。

参加低調…必要性を感じない

制度が施行されてから1週間余り経ったが、銀行の参加は低調だ。融資事前審査制は自律規制で、勧告事項に過ぎず、銀行が受け入れる義務はない。

銀行が融資事前審査に消極的な態度を示す理由は、必要性を感じないからだ。すでに、信用評価機関(CB)の情報や自主的に収集した情報を基に構築した信用評価モデル(CSS)を軸に、体系的かつ綿密な審査を行っているためだ。反面、顧客が直接書いた情報に依存しなければならない事前審査過程は実効性が落ちるとの指摘がある。

ある都市銀行の関係者は「融資の事前審査制は事実上、投資性の家計向け融資審査を強化するというのが重点だが、顧客に対する口頭質問、あるいはアンケートの回答を土台に資金使用の用途と返済方法などを確認することに何の意味があるのか」としながら、「融資を実行後、銀行側で事実を確認したり、顧客の立場からも書類などで証明することも難しい事案だ」と説明した。

続いて「制度施行に合わせて一部の支店に様式を作って配布したが、事前チェック内容が実質的に融資審査に影響を及ぼすかは未知数だ」と述べた。

融資の事前審査制を巡る実効性を巡る議論は、昨年、チェックリストの作成当時も提起されたことがある。しかしながら、配布されたチェックリストを見ても改善された内容はない。

これについて金融監督院の関係者は、「本審査が行われる前に1次的なハードルができただけに、略奪的融資に対するフィルタリングが行われると予想している」としながら、「今年から金融消費者保護法履行の有無を調べるのにチェックリストの活用度を点検し、建議事項があれば項目を改善することもできる」と述べた。

地道な関心、改善努力が必要

さらに一部では、融資の事前審査制度を定着させるためには、金融当局の持続的な関心と現場実態を反映した改善努力が必要との指摘が出ている。

キウム証券のソ・ヨンス研究員は「金融消費者保護法上の適合性、適正性の可否を遵守するための融資の事前審査制度を導入するだけで、株式、不動産、仮想資産など投資目的用途の融資、過消費性の融資を十分制御できる」とし、「銀行も長期的に過度な債務リスクを低くし、利益安定性を高める効果が期待できる」と説明した。

さらに「法の理解不足で実効性に対する批判が提起されているが、監督当局が一貫して政策を推進していけば、融資審査体系はアメリカなどの先進国のように根本的に変化するものと予想される」と付け加えた。

アン・ソユン記者