韓国輸出企業の「ロシア・リスク」、金融業界に広がるか
ロシアの債務不履行(デフォルト)危機を受け、韓国の中小の輸出企業が、代金決済に支障をきたしている。それら企業に融資を行った韓国の銀行でも、不良債権化のリスクが一緒に膨らんでいる。
代金決済に支障
JPモルガンの報告書と海外の通信が16日までに報道した資料によると、ロシアは同日(16日)、7億ドル相当の国債が満期を迎える。同債券に対する利子は1億1700万ドル程度だ。
契約上、ルーブル(ロシアの貨幣)では利子を支払うことはできない。JPモルガンは西側の制裁で、手元にドルを保有していないロシアが、利払いを行うのは難しいだろうと分析した。もし、ロシアが利子の返済問題を解決できなければ、30日間の猶予期間を経てデフォルトに陥る。ロシアがデフォルトの危機に直面したのは1998年以来だ。
この結果、ロシア企業の代金決済拒否の事例が出ている。ロシアとベラルーシに機器や部品を納入した韓国の輸出関係の中小企業が、ドルで代金を受け取れずにいる。
韓国貿易協会が受け付けたウクライナ事態関連の被害件数は16日現在で512件386社で、このうち半分以上の279件(54.5%)は代金決済に問題が生じている。
影響は限定的か
韓国の中小企業が受けた金融リスクの衝撃は、そのまま国内金融機関のリスクとして転移しているのではないかとの懸念の声が出ている。
今年9月末現在、韓国国内の金融機関のロシアとウクライナのエクスポージャー(危険露出額)は6063億ウォン規模だ。都市銀行のうち、ハナ銀行とウリィ銀行がそれぞれ2960億ウォンと2664億ウォンで全体の92.7%を占めており、新韓銀行は357億ウォン、国民銀行は56億ウォンと集計された。
韓国の都市銀行は、対ロシア貿易金融の大半が貿易保険公社の保険および保証を受けており、実際に甘受しなければならないリスクは大きくないという立場だ。しかし一方では、ロシア関連の取引に限定的な承認方針を立てるなど、新たな経営悪化の予防にも力を入れている。
これに関してある銀行の関係者は「国家リスクによる不安定は転貸金融と最も密接だ」としながら、「ロシア輸出企業のエクスポージャーに対するモニタリングを強化しており、該当国家の売上債権を買入する時に留意するよう呼びかけている」と述べた。
転貸金融とは、国策銀行である輸出入銀行が、主要輸出投資の対象国の銀行にクレジットラインを設定し資金を融資すれば、当該銀行が韓国企業と取引する現地企業に融資する金融制度のことをいう。
また、別の銀行圏の関係者は「国策銀行と違い都市銀行はロシアのエクスポージャーが大きくない」としながら、「ロシア事態がインドネシア、ブラジルなどエマージング国家に拡散する場合、金融不安がさらに大きくなる可能性があり、波及効果について綿密に検討している」と説明した。
被害企業に金融資支援
さらに、各銀行は貿易規制や代金決済への支障など、困難に直面している中小企業への流動性支援にも積極的に乗り出す方針だ。KB国民、新韓、ハナ、ウリィ銀行は最近、ロシアのウクライナ侵攻で被害を受けた企業への金融支援を決定した。
例えば△ロシアとウクライナ紛争地域の現地法人または、工場設立などを通じて進出した企業△昨年1月以降、紛争地域と輸出入の取引実績や存在する企業△紛争地域に進出したり、輸出入実績があったりする企業の協力・納品業者などに新規融資支援および既存融資の満期延長、金利·手数料の減免などを支援する計画だ
ある銀行の関係者は「厳しい時期ほど多様な包容的金融を通じて企業の社会的責任を果たしたいと思う」としながら「被害を受けた企業が今回の支援で一日も早く正常化することを望む」と述べた。
アン・ソユン記者