ドル高が続く韓国で外貨預金が増加

最近、韓国でドル/ウォン相場が心理的な支持線と呼ばれる1200ウォンを前後する中、銀行に外貨預金が集中している。

安全資産を選好

ロシアのウクライナ侵攻が長期化の様相を見せていることから、ドルなど安全資産を好む心理が強まっているからだ。

今年1月の韓国国内の外貨預金残高は931億7000万ドルで、昨年1月(893億8000万ドル)に比べ4.2%増加した。特に、昨年10月に1007億7000万ドルを記録した後、11月には1030億ドルまでに増え、2カ月連続で過去最高を更新した。

まず、世界的なオミクロン株の拡散を受け、国際金融市場の変動性が高まり、安全資産を好む心理が強まった影響と見られる。また、年初からアメリカ連邦準備制度理事会(FRB)の早期緊縮のシグナルを受けてドル高となり、ドル/ウォン為替の差益を得ようとする動きも増えている。

さらに、ロシアのウクライナ侵攻が長期化したことを受け、国際原油価格が先週には一時、1バーレル当たりに140ドルに迫り、景気鈍化への懸念が高まり、代表的な安全資産であるドルに対する選好度が高まったことも働いた。

昨年初め、1080ウォンだったドル相場は1月に1200ウォンを突破、今月14日には取引中に1240ウォンまでウォン安が進んだ。ドル/ウォン相場が取引中に1240ウォンを記録したのは2020年5月末以来1年10カ月ぶりだ。

関連業界ではドル/ウォン相場が1250ウォンを超えるなど、当面、高い水準を維持するものと観測している。

ハナ金融投資のチョン・ギュヨン研究員は「最近、急激に上昇したドル相場は第2四半期まで1200ウォン台にとどまる可能性が高い」としながら「安全な通貨を好む傾向が高まり、EM通貨指数が大きく下落したほか、韓国5年物クレジット·デフォルト·スワップ(CDS)プレミアムも年初21.6bp(1bp=0.01%)から35.4bpまで上昇した」と分析した。

銀行は顧客誘致

この結果、韓国の銀行は外貨預金商品の発売とイベントを通して顧客誘致に乗り出している。

国民銀行は今年1月、1ドルから最大1万ドルまで自由に貯蓄できる「KBドキドキ外貨積金」を発売した。これに先立ち、昨年10月には、24時間両替が可能なサービス「KB外貨マネーボックス」を公開した。

NH農協銀行も先月、「NHファンテック外貨回転預金Ⅰ·Ⅱ」を発売し、1月から3月末まで記念イベントを実施する。

ある金融界の関係者は「ロシアとウクライナの戦争状況が長期化する局面に入り、安全資産を好む心理が高まっている」としながら「また、今月連邦公開市場委員会(FOMC)の定例会議を控えているなど、市場が不安定な状況であるだけに、当分ドル高現象は続くとみられる」と述べた。

イ・ジウン記者