実損保険の赤字、3兆ウォンに迫る…韓国保険業界
韓国では昨年、「第2の健康保険」と呼ばれる実損医療保険の赤字が3兆ウォンに迫っていることが明らかになった。金融当局は、第4世代実損保険への転換を誘導し、赤字の原因とされる非給付診療に対する支給審査の強化を誘導することにした。
保険料、毎年増額でも追いつかず
韓国政府の金融監督院によると、韓国で実損保険を販売する保険会社は昨年2兆8602億ウォンの赤字を出した。赤字幅は前年(2兆5009億ウォン)より3593億ウォン大きくなった。損害保険会社の損失が2兆6887億ウォン、生命保険会社の損失が1714億ウォンだった。実損保険の保険料は毎年上がっているにもかかわらず、損失が大きくなっている。
実損保険は、患者が病院や薬局で実際に支払った医療費の最大90%を保障する保険商品だ。国民健康保険を補完するものとして導入され、加入者数は今年3月現在で3977万人に達する。
赤字は、過去に販売された第1~3世代実損保険商品で深刻化した。実損保険は販売時期、保障構造によって、旧実損(1世代)、標準化(2世代)、新実損(3世代)、4世代に分けられる。2017年4月以前に販売された1世代と2世代実損保険の損害率はそれぞれ127.6%、109.4%だった。第3世代の実損も昨年、損害率100%を超え、赤字に転落した。
金融監督院の関係者は、「従来の第1~3世代商品を中心に、過剰な医療を統制する仕組みの不足で損害率の悪化が続き、赤字幅が深刻化した」としながら、「毎年、10%を超える保険料の引き上げが続いているので、消費者にとっても保険料の負担が増大している」と説明した。
非給付項目も過剰診療の誘因となり、適切でない保険金支払いの主な原因として作用した。
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金融監督院は、第4世代実損保険への転換を誘導する方針だ。消費者に保険料、保障内容など商品間の比較情報が正確に伝わるようにする一方、希望する人は誰でも簡単かつ安価に契約を転換できるようホームページなどオンライン契約転換を奨励する方式だ。
また、実損保険の非給付診療費統計を体系的に整備・管理し、定例的に分析、異常の兆候などについて関係当局などと共有および議論することとした。
一方、昨年7月から販売された第4世代実損保険の損害率は54.2%だった。給付は63.2%、非給付は48.1%の損害率を記録した。金融監督院の関係者は、「6カ月経過時点で第4世代商品の改善効果を判断するのは早いが、非給付損害率が給付損害率より低いのは肯定的だ」としながら、「販売初期には保険加入審査などで健康な人が多く加入し、損害率が低い傾向がある」と話した。
ユ・ジョンファ記者