韓国産仮想通貨「ルナ」上場廃止がネット銀行に余波
韓国のインターネット銀行であるケイバンクは、仮想通貨のおかげで相当な収益を得ていたが、ここに来て苦境に立たされている。
ケイバンク、取引所との提携に依存
同行に対しては、安定した成長のためには、生産性の基盤となる手数料収益と受信額の確保が求められ、仮想資産取引所との実名口座発行提携サービスに依存するポートフォリオを改善しなければならないという指摘が出ている。
米連邦準備制度理事会(FRB)の緊縮の余波で、仮想通貨の時価総額10位以内に入った韓国産コイン「ルナ」の上場廃止事態にまで至り、仮想通貨市場全体がフリーズしている。
仮想通貨の価値が急落することを懸念した投資家たちの「コインラン(投げ売り)」に続いて、預け入れた投資資金まで引き出す事態が重なった。
見通しが立たない仮想通貨ショックに、ケイバンクは緊張している。ケイバンクは仮想資産取引所「アップビット」と結んだ実名口座発行提携サービスにより、仮想通貨投資ブームの恩恵を受けてきた。
昨年だけでも、アップビットから口座発行手数料として292億4500万ウォンを受け取った。これは同期間、ケイバンクが手にした総利子利益(1980億ウォン)の14%に相当する規模であり、当期純利益(225億ウォン)よりも多い。
初の黒字化をけん引
ケイバンクは預り金確保戦略においても、アップビットとの提携業務への依存度が非常に高い。アップビットの顧客がケイバンクの本人認証を経てアップビットに入金すると、その資金はケイバンクの法人口座に預けられる。
昨年のケイバンクの受信残高は11兆3200億ウォンで、このうち法人が占めた割合は58.75%に達した。アップビット運営会社のドゥナムの前受収益(顧客預金)が5兆8120億ウォンであることを考えると、受信額の半分がアップビットからのものであるわけだ。
ケイバンクの受信額の一部は、融資などの営業財源として活用される。アップビットの顧客が預けた投資資金を引き出そうとすれば、ケイバンクは直ちに現金で払わねばならないが、営業財源として活用していると、取り付け騒ぎなど突然の大規模な引き出しが発生した場合、流動性の確保に困難が生じる可能性がある。
これに対して金融圏内外では、安全性が低下し、外部要因の影響を多く受ける仮想通貨の潜在リスクが大きいという点で、ケイバンクはアップビットへの依存度を下げるのが急務だとの指摘が出ている。
金融圏のある関係者は、「ケイバンクが発足から4年となった昨年、初めて通期黒字を達成した。アップビットとの提携事業はそのけん引役となったが、甘受すべきの副作用も大きいのが事実」とし、「特に株式公開(IPO)を進めている状況で、特定の事業に対する過度な依存度はマイナスだ」と指摘した。
これと関連してケイバンク関係者は、「法人口座の前受金を融資で運用するのは銀行業の基本的な事業構造」だとし、「特にアップビットからの預金については、変動性などを考慮して、主に国公債など高流動性資産を中心に管理している」と説明した。
アン・ソユン記者