韓国で人気のマイナス通帳「転職」しても利用できるか

韓国では、突然まとまったお金が必要になった場合、多くの人が「マイナス通帳」を利用する。銀行が取り扱う信用ローン商品のひとつで、正式名称は「限度貸出」だ。日本の銀行のカードローン専用口座とよく似た仕組みで、決められた限度内で自由にお金を出し入れできるため、必要とする分だけ柔軟に資金を使うことが可能だ。

日本の銀行カードローンと類似

例えば、残高が100万ウォンの口座に500万ウォン限度のマイナス通帳が適用されれば、合計600万ウォンまで自由にお金を使うことができる。利子は決められた利率で、日割りで積算される。

非常に便利なローン商品なのだが、利用に当たって問題になるのが、在職期間だ。

マイナス通帳は利用者の信用度に基づいて実行される貸付なので、固定所得の有無判断を行うため、銀行は申請要件として一定期間以上の在職期間を条件としている。

そうなると、せっかく自分の信用点数を良好に管理していても、突然、転職の必要性が生じた場合、マイナス通帳の申請資格すら与えられないケースがある。

在職期間要件のない商品もあるが、最大限度が300万ウォンと低く、金利も6~10%台と、庶民にとっては使い勝手が良くない。

一方、人気度の高いマイナス通帳は、銀行どうしの競争が激しい市場だ。そこでシェア拡大のため、在職期間と関係なくマイナス通帳を提供している銀行もある。

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代表的なのが、IBK企業銀行の非対面限度貸出「i-one中期勤労者優遇」だ。申請者の年収や在職期間を要件に含めていない。

現在、在職中であれば融資限度は最大1000万ウォンで、取引実績に応じて、固定給のあるすべてのサラリーマンは最大年0.9%、中小企業の労働者ならば最大1.3%まで金利が減免される。

ウリィ銀行の「ウリィ初給与」も、1カ月以上在職していれば開設できる。ただし、在職期間によって限度が1500万~8000万ウォンと差があり、非対面で申請するには3カ月の在職期間を満たさなければならない。

BNK慶南銀行の「BNKモバイル」の場合、健康保険料を3カ月以上、納付した給与所得者や、国民年金を6カ月以上、納めたその他の所得者を対象に限度融資を行う。

職業が正社員や公務員、軍人(軍曹以上)、教師の場合、KB国民銀行の限度融資を在職期間とは関係なく最大5000万ウォンまで利用できる。

ある市中銀行の関係者は「マイナス通帳は短期の資金繰りに最適化された商品だが、利子のことを考えないままむやみに使うと、悪循環に陥るかもしれない」とし、「正確な用途と返済期間を明確に決めておいて、計画に合わせて使わなければならない。いかに急な状況であっても、本人に合った商品を選択することが重要だ」とアドバイスした。

アン・ソユン記者