韓国で市中銀行と地方銀行の「生産性格差」拡大
韓国の地方銀行と市中銀行の間で、生産性の格差が拡大している。地方銀行が地域経済を基盤とする「かかわり型」の金融を追求する中で、デジタル化時代の運営効率追求との両立に苦しんでいるせいだ。
職員1人当たり5000万ウォン
銀行圏の経営実績を総合したデータでは、昨年の5大地方銀行(釜山・全北・光州・大邱・慶南)の職員1人当たりの引当金積立前利益は、平均2億5340万ウォン、4大市中銀行(KB国民・新韓・ウリィ・ハナ)の平均は3億175万ウォンと集計された。
職員1人当たり引当金積立前利益は、貸倒引当金を除く前の営業利益を全ての従業員数で割った値だ。昨年、4大市中銀行の職員1人が5大地方銀行の職員1人より、約5000万ウォン多く稼いだわけだ。
2018年には、地方銀行と市中銀行の従業員1人当たりの引当金積立前利益の平均は、それぞれ1億8980万ウォンと2億600万ウォンで大きな差は見られなかった。
しかし、この5年間で市中銀行と地方銀行の従業員数の推移に異なる様相が現れ、生産性に大きなギャップが生じた。
昨年の4大市中銀行の国内従業員数は平均5万5034人で、2018年(5万6846人)より1812人減った。同期間、5大地方銀行は1万1084人から1万1153人に69人増えた。
「人的リストラ」困難
市中銀行はフィンテックの活性化と新型コロナの余波で営業店の訪問客が急減すると、大規模な希望退職を断行してスリム化した。
一方、地方銀行は人的リストラに簡単には乗り出せないように見える。地域住民との「かかわり型」金融に注力する地方銀行にとっては、顧客と直接向き合って営業する従業員の力量が、営業の主要資産となるからだ。
銀行圏のデジタル転換(DT)推進の勢いも、地方銀行の成長に障害になっている。
インターネット銀行と市中銀行は、モバイルプラットフォームを通じて様々な金融サービスを提供し、時間と空間に制約のない100%非対面で商品を販売しながら、地方銀行の主な舞台である拠点地域の占有率まで蚕食している。
5大地方銀行の営業店1軒あたりの平均貸付金は、2018年の1625億8000万ウォンから2448億2000万ウォンへと50.5%増加した。しかし同期間、4大市中銀行は2618億5000万ウォンから5562億5000万ウォンに62.5%増加し、地方銀行との格差を12.5%ポイントに広げた。
こうした現状を受けて、市中銀行の寡占体制がいっそう強まると憂慮する声も出ている。
銀行圏のある関係者は「金融デジタル化の拡散で、地方銀行の生産性が下がっている。地域経済の活性化という設立趣旨に合わせて、これまで耐えてきた営業店の維持費用も限界に達したようだ」と指摘した。
続けて「市中銀行と地方銀行の境界がなくなると、食われるのは規模がはるかに小さい地方銀行の方だ」とし、「市中銀行の独寡占体制がさらに深刻化しないように、地方銀行をはじめとする小型銀行の営業規制の緩和、新事業の進入経路拡大など政策的支援が必要だ」と分析した。
アン・ソユン記者