韓国の銀行、退職者を積極的に再雇用

韓国の銀行では、非対面取引の活性化や壺型の人材構造改善など、体質変化の流れにあわせ、希望退職で銀行を辞めた職員を銀行が再雇用する事例が増えている。

業務ノウハウと人的ネットワークが蓄積された高効率人材を、低コストの非正規職として再び活用するのが目的だ。ただ一部では、「結局、人事滞積が繰り返されるのではないか」という指摘も出ている。

KB国民銀行は現在、非対面融資審査や退職年金資産管理部門の退職職員の再雇用を進めている。

2015年~2020年1月の希望退職者と正社員としての勤務履歴を持つ退職人材を対象とし、勤務形態は期間制労働者(非正規職パートタイマー)で日給制だ。6カ月単位の契約で、勤務成績などを考慮して最長2年まで延長できる。

ノウハウの共用に重点

新韓銀行やハナ銀行も今年上半期、希望退職者の一部を管理専門人員や金融相談員として再雇用を推進する予定だ。

これに先立ち、両行は企業金融専担役(RM)または、賃金ピーク制で退職した行員の大多数を審査役や専担監査役、金融消費者保護の担当者、支店長、PBセンター長の職級として、期間制労働者の形式で配置したことがある。一般的な期間制労働者と比べ重要な責任が与えられるポストだが、退職者が力量を発揮することで、組職がそのノウハウを共有できるようにすることに重点を置いた。

ネットワークや経験が重要な業務は、新入行員を配置するより、銀行の実務を20年以上経験した退職者を活用したほうが、短期的な成果を出すのにより有利だからである。

また、新入社員に対する教育など目に見えない費用と物理的な時間まで考慮すると、少ない費用で効率を極大化する一挙両得の選択だ。

増額された特別退職金をもらった退職者にも、短期勤労の再雇用は自らの経験を活用できる仕事として悪くない提案だ。

非正規職、前年比12.66%増加

銀行では毎年、退職者を対象にした再雇用が行われ、銀行内の非正規職の割合も増え続けている。

KB国民、新韓、ウリィ、ハナの4大都市銀行の今年3月末現在の従業員数は4385人で、2019年3月末(3892人)より12.66%上昇した。同期間、全職員のうち非正規職の割合は6.54%から7.49%へと増えた。

ただ一部では、銀行圏が不況や非対面チャンネルの活性化を受け、新入行員の採用を減らす一方、従来の人員を大量に採用すれば、人事滞積の問題が繰り返されかねないという指摘も出ている。

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銀行界のある関係者は「ネットワークと業務ノウハウは簡単に蓄積できるものではない。特に監査役など内部統制関連の職務には経験値が絶対的に必要だ」としながら、「人材運営で最も重要なのが効率性だが、専門性が確保された人材を再び活用するのはこれに適合した戦略」と述べた。

続けて「過去は書類整理と点検、保管などバックオフィス業務の相当部分で退職者の再雇用に依存していたが、現在はペーパーレスの流れによって基本業務に対する需要が減り、専門性が求められる業務に限って再雇用を進めている」とし、「新入行員採用とは別にシニア採用を並行する概念と考えれば良いだろう」と説明した。

アン・ソユン記者