韓国の銀行、退職年金の収益率が悪化

韓国証券市場の未曽有の好況に支えられ、大幅に上昇した銀行退職年金の収益率が再び底を打っている。激しい顧客誘致競争の中、「損失が出たら手数料は無料」とアピールしていた銀行の非利子収益にも赤信号が灯った。

非利子収益に赤信号

20日までに明らかになった情報をまとめると、KB国民、NH農協、新韓、ウリィ、ハナの5大都市銀行の今年第3四半期(6~9月)の元利金非保証型退職年金の平均収益率は、第1四半期(1~3月)と比べ半分に減った。

項目別に見ると、確定給付(DB)型が6.38%から3.22%、確定寄与(DC)型が24.1%から11.42%に減り、個人型退職年金(IRP)は22.15%から10.36%に落ち込んだ。

また、保守的に運用される元利金保証型の場合、DB型(1.36→1.17%)、DC型(1.48→1.21%)、IRP(1.05→0.8%)ともに小幅の下落を見せた。

全体積立金のうち、保証型と非保証型の比率を反映した退職年金の平均収益率は、DB型が1.62%から1.36%に、DC型は3.81%から2.5%に、IRPは5.24%から3.2%に下落した。

銀行の退職年金収益率は、昨年下半期から証券市場の活況に伴って上昇を続けたが、今年第2四半期に入り雰囲気が変わった。KOSPI指数が昨年ほど大幅に上がらず、証券市場の変動性に大きく影響される元利金非保証型の収益率は下り坂をたどっている。

退職年金の収益率が毎月ピークに達した当時、銀行は証券市場の好況と共にIRP専担組職を拡充した。そして、専用ロボアドバイザーの新設などを通じて独自の力量を強化したのが決定打になり、収益率の改善を導いたと自画自賛した。しかし、証券市場の不安がそのまま連動し、ムードは色あせてしまった。

証券へのマネームーブ加速

特に、銀行圏は最近、加速している証券会社への退職年金の「マネームーブ」を防ぐために出血競争を繰り広げており、収益性の確保が急がれる状況だ。

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これに関して、いくつかの銀行は退職年金運用能力の信頼度を高めるため、「収益が出なければ運用手数料を受け取らない」と宣言した。証券会社がIRP市場攻略のため、手数料免除のマーケティングを展開すると、これに負けまいと景品攻勢やキャッシュバックまで動員してきた。

これまで韓国の都市銀行は元利金保証型中心の退職年金運営で収益率が低くても手数料を多く取る構造で持ちこたえてきた。

しかし最近、退職年金の傾向は、収益率を重視する攻撃的な投資性向を持つ加入者の比率が増加する方向に変化している。そのため手数料収益を拡大し、市場優位を持続するためには安定的な収益率の改善が必修だという指摘が出ている。

韓国の5大都市銀行が昨年、退職年金の運用で稼いだ金額は4163億ウォンで、総手数料利益(4兆3167億ウォン)の10%に当たる。

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ある銀行の関係者は「退職年金に対する認識が、安全資産から投資資産へと変化し、運用会社を選ぶ上で収益率を重視する顧客が多くなっている」としながら、「証券会社への退職年金の流入を防ぐため手数料免除を講じたが、収益率自体が上がらない状況で顧客誘引効果が持続することはないと判断される」と述べた。

さらに「長期間、続いた金融会社の間の出血競争で、これ以上の手数料引き下げも難しい状況だ」とし、「ポートフォリオの事後管理強化、投資先に対する安全性確保システムなど顧客の長期的な信頼を得られる対策作りに努力している」と付け加えた。

アン・ソユン記者