韓国の銀行が「隠れた不良債権」に緊張

韓国銀行圏で新規で発生する固定以下与信(要管理債権)の規模が減っているが、新型コロナウイルスの金融支援措置による「錯視効果」という指摘が出ている。

政府のコロナ金融支援終了がリスク

韓国の4大都市銀行(KB国民銀行、新韓、ハナ、ウリィ)の昨年の固定以下与信は4932億ウォンで、2020年(6067億ウォン)比18.7%減少した。

同期間、銀行別にみると、KB国民銀行は(4890→4290億ウォン)で12.2%減り、新韓銀行は(5310→4950億ウォン)6.7%減少した。続いて、ハナ銀行は(5520→4700億ウォン)14.7%、ウリィ銀行は(8550→5790億ウォン)32.3%下落した。

韓国の金融機関は与信を◇正常◇要注意◇固定◇回収疑問◇推定損失などの5段階に区分する。固定以下与信は延滞期間が3カ月以上の債権(NPL)で、固定と回収疑問、推定損失が含まれる。

このような数値を巡り、関連業界では大規模な金融支援により、不良債権の発生が抑制された結果に過ぎず、実際に健全性指標が改善されたわけではないという意見が大半を占めている。

関連記事:今年3月、韓国金融システムを襲う衝撃…政府は備えを

新型コロナウイルスで困難に直面している中小企業・小規模事業者を支援するため、韓国政府が講じた「融資満期延長および元利金償還猶予」措置は、当初2020年9月に終了する予定だった。しかし、新型コロナウイルスの拡散傾向が止まず、3回延長された。

「銀行の過信」が警告

同措置が終わり、元利金の返済が始まれば、下落傾向を見せていた延滞率が急上昇するだろうという見方が出ている。最近、金融当局が金融持株会社に対し、十分な引当金の積み立てを勧告したことも同じ脈絡からだ。

関連記事:韓国の銀行圏、企業向け融資が増加…返済負担が危険水域に

韓国金融研究院のイ・スンホ研究委員は「銀行圏の貸倒引当金の高い積立率は、貸倒引当金が増加しただけでなく、不良債権の規模が大きく縮小したことによるもの」としながら、「新規の融資が大きく増加した状況で、損失吸収能力に対する銀行の過信を引き起こす恐れがある」と分析した。

こうした中、銀行界も数値に表れていない不良債権が一気に浮上しないか緊張している様子だ。金融支援措置の長期化が見込まれる、各銀行もリスクに備えるため、防波堤を築いている。

主要都市銀行の昨年の平均固定以下与信のカバレッジ比率は189.42%で、2020年(148.07%)比41.35%増加した。

固定以下与信のカバレッジの割合は、今後の不良債権への対応力を判断できる指標だ。一般的に100%を超えるということは、金融会社が持っている不良債権の規模より多くの予備資金を抱えていることを意味する。

ある銀行圏の関係者は「金融支援が追加で延長されるたびに銀行圏の不健全性の恐れは大きくなっている」としながら、「融資延長と償還猶予が終了する際に一気に集中するリスクに備え、銀行内部でも軟着陸策に頭を悩ませている。また、引当金の積み立てや融資不良のモニタリングも強化している」と述べた。

イ・ジウン記者