韓国金融持株、債券発行ラッシュで自資本比率改善

韓国の金融持株会社がココ債などの発行を通じ、資本拡充に積極的に乗り出した。その結果、資産健全性が改善されたことが分かった。

韓国の主要金融持株(KB国民・新韓・ハナ・ウリィ)の昨年のBIS規制に基づく平均自己資本比率は15.79%で、2020年(14.74%)より1.05%増えた。

BIS対応と成長基盤拡大で

同期間、持株別に見ると、KB金融持株が15.28%から15.78%へ0.5%増加し、新韓金融持株は15.7%から16.1%へ0.4%増えた。続いてハナ金融持株は14.2%から16.29%へ2.09%、ウリィ金融持株は13.8%から15%へ1.2%上昇した。

ココ債は偶発転換社債とも呼ばれ、銀行など金融機関が自己資本増強のために発行する転換社債の一種。発行体の自己資本比率が基準値を下回るなど、偶発的な事象であらかじめ定められた条件に抵触した場合、元本の一部または全部が償却されたり、強制的に普通株に転換されたりする。リスクが高い代わりに、通常の社債よりも高利回りとなっている。一種の劣後債券で、満期のない永久債の形で発行され、一般債権と資本金の中間的な性格を持つ。

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世界的な金融危機の再発防止を目的とし、国際的に事業を展開する大手銀行に自己資本の強化を求めた自己資本規制「バーゼルⅢ」が、2023年1月から施行となる。ココ債はバーゼルⅢでも、他の債権と違って会計上の資本として認められる。

そのため、金融持株会社と銀行は同種の劣後債や新種資本証券の発行を通じ、BIS比率を高める方策として活用している。金利の引き上げに対する先制的な備えや事業ポートフォリオの拡大など、系列会社の強化に向け、投資財源を調達する狙いもあると見られる。

発行金利が上昇すると、金融持株会社の費用負担も大きくなるため、相対的に金利が低い時期に社債を発行し、資金をあらかじめ積み増そうという意図だ。

市場金利の指標とされる国庫債3年物の金利は、昨年初めの1%未満から今月8日には2.3%を突破し、3年8カ月ぶりの最高値を記録した。

子会社への支援も

また、金融持株らは収益と成長基盤の拡大のため、子会社への支援にも積極的だ。

ハナ金融持株は昨年、ハナ貯蓄銀行やハナキャピタル、ハナ生命などに対し、有償増資に踏み切った。ウリィ金融持株も最近、ウリィ金融キャピタルとウリィ金融貯蓄銀行を完全子会社に編入した。今後、証券会社とベンチャーキャピタルの買収も念頭に置いている。

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KB金融持株も2020年4月に買収したプルデンシャル生命に、2兆3400億ウォンの資金を投入した。

また、KB金融持株は昨年2月に6000億ウォンに続き、5月に2760億ウォン、10月に2690億ウォン規模の新種資本証券を発行した。新韓金融持株は昨年3月に6000億ウォン、ハナ金融持株は昨年3月に2900億ウォンと5月に2200億ウォン規模の新種資本証券を発行したことがある。ウリィ金融持株も昨年4月と10月に、それぞれ2000億ウォンの新種資本証券を発行した。

金融圏のある関係者は「金融持株会社は海外事業と買収合併(M&A)、非銀行部分の収益性向上で投資資金が持続的に投入され、十分な資本余力が必要だ」としながら「主力系列会社の銀行も新型コロナウイルスの金融支援措置終了後に発生する与信の不健全性に備え、資本強化に乗り出したものと見られる」と述べた。

イ・ジウン記者