今年3月、韓国金融システムを襲う衝撃…政府は備えを

2022年1月14日

これから韓国経済においては、基準金利の引き上げが本格化し、自営業者らの元利金の返済負担はさらに膨らむ見通しだ。新型コロナウイルス対策の金融支援終了(3月末)に伴う衝撃を最小限に抑えるため、それに応じた支援策と実質的な事後管理対策が支給に必要だという声が出ている。

韓国銀行(中央銀行)は14日、通貨政策の方向性を決定する「金融通貨委員会」の定例会議を開き、基準金利の引き上げを決定する。現在、年1.0%水準の基準金利から0.25%引き上げた1.25%になるものと予想される。

基準金利の上昇…利ざや加重

昨年末から続いているインフレーション(物価上昇)圧力が強い上、家計債務の増大や住宅価格の上昇などによる金融不均衡が、相当なものだとの判断からだ。問題は脆弱(ぜいじゃく)階層に属する借主の利子の負担だ。銀行圏は今年、2~3回にわたって基準金利がさらに引き上げられ、年1.75%まで上がる可能性あると予想している。

韓国銀行の試算によると、基準金利が0.5%上がれば、家計の年間利子負担は2020年末比5兆8000億ウォン増加する。借手1人当たりの年利子負担も271万ウォンから301万ウォンへ30万ウォンずつ増える。

よって専門家たちは、新型コロナウイルスの再拡散や基準金利の引き上げを受けて利子負担が膨らんだ中小企業や小規模事業者のための、先制的な支援策をまとめるべきだと口をそろえている。新型コロナウイルス対策の金融支援政策である融資の満期延長と元利金の返済猶予措置が今年3月に終わるため、これまで隠れていたリスクに備えた「きめ細かい管理」が必要だと指摘している。

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韓国金融研究院のシン・ヨンサン金融リスク研究センター長は「元利金返済猶予の終了により、ある時点に返済負担や不健全化のリスクが重なる『集中リスク』が発生しないよう、返済時点を弾力的に調整したり分散させたりする方法を考慮すべきだ」と説明した。

続いて「新型コロナウイルスによるパンデミックで、業況が大きく悪化した対面サービス業の融資に対して猶予されていた元利金を、低金利の融資商品や長期分割返済商品に切り替えるなど、漸進的な返済方式を導入すべきだ」と付け加えた。

10人に6人が多重債務

金融当局の強力な家計融資規制で、銀行圏融資の敷居が高くなると、資金難に苦しんでいる自営業者らが、第2金融圏や闇金融に追いやられる状況も生まれかねない。

正義党の張惠英(チャン・ヘヨン)議員室が韓国銀行から提出を受けた資料によると、昨年6月末基準、自営業者のうち、3つの金融機関以上から融資を受けた多重債務者は140万6000人と、2年前に比べ32.5%(34万5000人)増加した。特に、自営業者の借主のに占める多重債務者の割合は56.1%に達した。

祥明大学のソ·ジヨン経済学部教授は「闇金融の利用がなくならないのは融資総量規制と無関係ではない。融資管理をタイトにするよりは、緩和する方向に進まなければならない」とし、「自営業者は新型コロナウイルスの影響で信用度がかなり低くなった状態だ。これらは別途、韓国政府の財源が必要であるので、民間金融の融資総量制から排除するのが望ましいのではないかと思われる」と述べた。

支援体系の構築を

一方、低信用者が効率的な債務管理を通じて速やかに低信用から抜け出せるよう誘導するとともに、勤労意欲を高められる支援体系を構築すべきだとの意見も出ている。

前出のシン·ヨンサン氏は「脆弱借主のための負債調整および信用回復制度の活性化、所得条件の改善による債務返済能力の向上など、持続的な対応が求められる」としながら、「特に家計債務規模の減少および仮処分所得の増加とともに、家計の多様な支出負担を減らせる雇用と所得補完対策が必要な時だ」と説明した。

檀国大学校のキム・テギ教授は「政策庶民金融をより精巧にする必要がある」としながら、「現在は所得がなく低信用であっても、これから収益を出せるように勤労意欲を育てる支援システムが必要だ。代位弁済請求が可能な政策金融商品は、ともすれば勤労意欲を減退させる要因になり得る」と付け加えた。

イ・ジウン記者