韓国損保、道路交通法改正でアップセリング

韓国の損害保険会社が再び道路交通法改正により恩恵を受ける見通しだ。今度は刑事合意金(示談金)の保障限度を競って販売に乗り出した。過去には、「ミンシギ法」の施行に合わせて運転者保険の罰金限度を増やし、その結果、販売量が急増した例がある。

示談金の補償限度を引き上げ

サムスン火災、DB損害保険、KB損害保険などが今月、一斉に運転者保険の交通事故処理支援金特約保障金額の限度を最大2億ウォンまで引き上げた。

交通事故処理支援金は、運転中の交通傷害事故で被害者を死亡または負傷させた場合、刑事合意金を支給する特約だ。

先月までは、サムスン火災の運転者保険の刑事合意金特約の最大保障限度は1億3000万ウォンだった。昨年9月に限度額を3000万ウォン拡大してから7カ月ぶりに、再びに最大限度額を拡大したのだ。DB損保とKB損保の既存限度額も1億5000万ウォン水準だった。

昨年から損保は交通事故処理支援金の限度を増やしてきた。メリッツ火災が昨年、2億ウォンほどの刑事合意金を提示した。続いてロッテ損保、現代海上、興国火災も限度額を2億ウォンまで拡大した。

交通弱者保護区域を拡大

韓国の損保が刑事合意金特約の加入限度を大幅に増やしたのは、改正された道路交通法の影響が大きい。今月20日からは子ども・高齢者・障害者保護区域に指定できる対象が拡大される。それから、交通弱者が頻繁に往来するところも交通弱者保護区域に指定できるようになったのだ。

保護区域が増えるだけに、運転者が事故を起こした場合、負担する法律費用も大きくなりかねない。保険会社はこのような点を狙ってマーケティングを展開している。

ある保険会社の関係者は、「制度変更の話題は、アクチュアリ―または加入者も関心を持ちやすい内容だ」としながら、「運転者が苦しい状況に直面しかねないだけに、従来の加入者に追加保険加入を誘導するアップセリング営業にメリットがあるように見られる」と述べた。

実際、2020年に損保は「ミンシギ法」によって大きな恩恵を受けたことがあった。同法の導入によりスクールゾーンでの事故時の罰金限度が既存の最大2000万ウォンから3000万ウォンまで上方修正された。ミンシギ法は、スクールゾーンで安全運転違反で満12歳未満の子どもを死亡させると、無期懲役または3年以上懲役に処する内容が骨子だ。

当時、保険会社は罰金処罰を強調し、マーケティングに乗り出した。ミンシギ法が施行された昨年4月の1カ月で83万件が新たに販売された。当時の第1四半期(34万件)の販売量より2倍以上多い数値だ。運転者保険の核心担保は大きく△罰金支援金△交通事故処理支援金△弁護士選任費用の3つだ。

ユ・ジョンファ記者