韓国政府、金融投資所得税の2年先送りを推進

韓国の国会で、金融投資所得税の導入を猶予するかどうかを巡り与野党間の綱引きが続いている。

野党は反対、綱引き続く

金融投資所得税は、株式や債券、ファンド、デリバティブなど、すべての金融投資商品により実現した所得を合算して税金を課す制度だ。

韓国では現在、小口投資家が国内の上場株式を取引する際に出す証券取引税と利子・配当所得に対する課税だけがある。株式の売買差益については事実上、税金はなく、大株主の場合のみ譲渡所得税を納付するようにしている。

政府の企画財政委員会では来月、この金融投資所得税の導入を2年先送りする内容などが盛り込まれた所得税法改正案が議論される予定だ。

改正案は、現在0.23%水準の証券取引税を来年から0.2%水準に引き下げ、金融投資所得税の導入後は0.15%に下げる内容も含んでいる。また、金融投資所得税は来年初めの施行予定を2年間猶予するとしている。

企画財政部の関係者は「現在の株式市場への影響が良くない」とし、「投資家保護制度の整備を優先し、その後に行うことにした」と2年猶予をするようになった理由を説明した。

「市場活性化は不確実」

一方、国策研究所である韓国租税財政研究院の関係者は、「金融投資所得税の導入猶予が金融市場の活性化に直接的に役立つかは不確実だ」として、実効性に対する疑問を提起した。

共に民主党をはじめとする野党も、譲渡税基準緩和などを骨子にした今回の税制改編について反対の立場を明らかにしている。

特に、金融投資所得税の猶予に関しては、納税者と業界の予測可能性を低下させると批判している。とりあえず2年間猶予して、その時の状況に応じて再び導入の可否を検討しようという案は、事前にシステムを構築しなければならない業界に相当な被害を与える恐れがあるという主張だ。

金融税制は、前回の大統領選挙の時から難題だ。尹錫悦(ユン・ソギョル)大統領は、候補時代に譲渡税の廃止と証券取引税の維持を公約として掲げた一方、相手候補だった共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は、これとは正反対に譲渡税の維持と証券取引税の廃止公約で対抗したことがある。

尹錫悦大統領の公約通り譲渡税を完全に廃止する案は、今回の改正案に載っていない。しかし、株式を銘柄当たり100億ウォン以上保有しなければ譲渡税を賦課しないという内容が含まれ、事実上の廃止だという主張が出る。1銘柄に99億ウォンを保有していても小口投資家とみなされて、株式譲渡税が適用されないからだ。

金融投資業界の関係者は「現在の株式市場の状況があまりにも良くないため、金融投資税の2年猶予はそのまま推進される可能性が高い」とし、「野党が政治的な理由で猶予に反対するのは無理がある」と述べた。

一方、現在の株式市場は、上昇モメンタムが不在な状況だ。世界的なインフレと景気後退の懸念、半導体投資心理の萎縮、貿易指標不振、米ドルレートの急騰が主な原因であり、ベアマーケットラリー(弱気相場の中で一時的な株価上昇)も終わったという評価だ。

パク・ヒュソン記者