ウリィ金融会長候補に元金融当局トップで波紋

韓国の大手金融グループの持ち株会社、ウリィ金融持株の次期会長人事で、任鍾龍(イム・ジョンリョン)元金融委員長が候補となったことが波紋を広げている。

「モフィア出身」に警戒

金融委員長は政府の金融当局トップであり、銀行をはじめとする金融業界を監督する立場にある。その経験者が金融グループ会長となることに「天下り」「官治金融」との批判が出ているが、任氏本人は意に介さず、会長就任に意欲を見せている。

ウリィ金融役員候補推薦委員会は1月27日の会合で、次期会長の最終候補を4人に絞り込んだ。任氏のほかはウリィ銀行のイ・ウォンドク頭取とイ・ドンヨン元ウリィFIS社長、ウリィ米国法人のシン・ヒョンソク代表らで、いずれもグループ内の出身者だ。

任氏は1981年、財政経済部(現企画財政部)国際金融局で官僚としてのキャリアをスタートさせ、駐英大使館領事、企画財政部企画調整室長を歴任。李明博政権で国務総理室長を務めた後、民間に転じて農協金融持株会長に就任。朴槿恵政府下で金融委員長を務めた。

農協で民間を経験しているものの、典型的なキャリア官僚であり、出身官庁の略称(MOEF= Ministry of Economy and Finance)と「マフィア」を合わせた造語である「モフィア(金融政策共同体)」の一員と見られている。

また、1990年代末の金融危機時に複数銀行の合併で誕生し、公的資金の注入を受けて実質的な政府管理下にあったウリィ銀行は、2019年に完全民営化を達成したばかりだ。

そうした経緯もあり、「金融官僚出身の任氏は、会社の問題を人的ネットワークでつながった金融当局の目線で見るのではないかという懸念がある。ウリィ金融が完全民営化されて間もないことを考えると、現在は内部出身者を選任して自立性を高める方が望ましい」(イ・サンフン金融経済研究所長)などの意見が少なくない。