国民銀行、信託事業の「未来」に賭ける
派生結合ファンド(Derivative Linked Fund=DLF)事態を受けて急落したKB国民銀行の信託業務運用収益が、回復傾向を見せている。
金融監督院によると、2019年上半期に1744億ウォンだった同行の信託業務運用収益は、昨年上半期には1202億ウォンへと30%ほど急減した。それが今年6月末には、再び1775億ウォンへと増加している。
高齢化で新たな収益源に
新韓・ハナ・ウリィ銀行も、昨年上半期までに平均24%の落ち込みを記録した後、回復傾向を見せている。しかし、DLF事態以前の2019年の収益率を超えてはいない。
信託業務運用収益とは、投資家から財産の委託を受け、債券、株式、不動産などに投資した後、運用・管理および処分と関連して受託者である銀行に支払われる信託報酬をいう。
商品別に差はあるが、銀行は通常、信託販売報酬として0.2~0.4%の手数料を受け取っている。さらに、投資家から委託された資産運用収益率に比例して一定部分、銀行側が得る利益を合計して信託業務運用収益を構成する。
すなわち、信託受託高の規模が小さくても、銀行の資産運用能力によって信託業務の運用収益が増加する構造だ。
金融当局はDLFの元本割れ事態を契機に、高リスク金融商品の不完全販売を防ぐため、銀行信託総量制を実施した。これを受け、銀行は収益性向上に乗り出したものと見られる。
さらに、金融当局は資産管理(Wealth Management=WM)市場の高収益商品として知られてきた株価連動信託(ELT)の販売に限度を設けた。その結果、各銀行のELT受託高は急激に減少し、収益縮小につながった。
銀行圏は、各銀行が強化された規制に合わせた投資商品を開発・発売するのに一定の期間がかかり、手数料の収益は当面停滞するか、萎縮する可能性が高いと見込んでいる。
リスク管理部門を再編
一方、国民銀行は信託関連収益が減少する中でも、信託事業に地道に力を注いだ。高齢化社会が進むにつれ相続・贈与に対する関心が高まり、信託市場が成長することによって、将来の収益源になると判断したからだ。
昨年、国民銀行は投資家の資産保護強化のための措置として、関連部署の再編に踏み切った。ファンドや信託など資産に対するリスク管理業務を、投資商品を管理する部署である金融投資商品本部からリスク管理に特化した部署を移した。
銀行のリスク管理政策に準ずる意思決定協議体である顧客資産リスク管理協議会と、顧客資産リスク管理審議会も新設した。当該協議体は、投資家の資産類型別リスク管理政策及び手続き審議を引き受ける。
国民銀行の関係者は「信託商品の構成強化と非対面チャンネルの拡大が収益を牽引したものとみられる」とし、「高齢層、MZ世代、ペットなど多様化する家族形態で発生する新しいニーズに合った相続設計を披露している。そうした部分でユーザーの関心も高まり、実際の加入者数も増える傾向にある」と述べた。
イ・ジウン記者