IBK企業銀行の成果指標、不健全営業を誘発

IBK企業銀行の成果指標(KPI)が、いわゆる『コッギ(※1)』を煽っているとの指摘が出た。KPI交差販売配点を増やしたことが主な原因となったとの分析だ。

【注※1】「コッギ」とは、銀行が貸付を行う際の条件として、預金・積金、カード、保険、ファンド等を抱き合わせ(交差)販売する不健全営業行為を言う。

「抱き合わせ」配点、2倍近く上昇

国会政務委員会の柳東秀(ユ・ドンス)議員は14日、IBK企業銀行から受け取った資料をもとに、同行の重要成果指標(KPI)において交差販売が占める割合が、2017年の30点から2020年は55点へと3年間で2倍近く上昇したと指摘した。

IBK企業銀行のKPIは収益性および健全性、成長性、顧客管理、職員・内部統制などで構成されている。総点は1000点で毎年同じだが、項目ごとに割り当てられた点数は年度別に異なる。該当年度に銀行が重要視する項目によって比重が違うからだ。

2017年に顧客管理に割り当てられた配点は個人の顧客管理50点、法人顧客管理45点の計95点だ。ここで交差販売に対する配点は、個人と法人の顧客でいずれも15点にとどまった。

続いて2018年は、個人交差販売の配点が増えた。2017年は15点だったが、1年後は20点と、5点増えた。IBK企業銀行の営業店で個人顧客を対象にカードや保険、ファンドなどの商品を販売した場合、実績を上乗せして評価するという意味だ。企業の顧客管理は前年と同じ15点が割り当てられた。

交差販売配点の割合は、時が経つにつれて大きくなった。2019年の個人客への交差販売配点は、その後の1年で5点増の25点になった。2020年は2019年から10点増えて35点が割り当てられた。2017年に比べると、3年で20点が増えた。

ただ、このような指摘を意識したのか、今年のIBK企業銀行のKPIには変化があった。交差販売項目をなくす代わりに「顧客基盤成長」という項目を新設した。既存の交差販売実績とともに核心顧客数、優秀顧客数などの項目を一つにまとめたものだ。

これについて金融業界では、交差販売に対するKPI配点は消えたものの、実際の実績に占める割合は増えたものと分析されている。2020年、交差販売項目が含まれた小分類(顧客管理部門)には、150点が割り振られたが、今年は210点へと拡大された。このように毎年、交差販売の配点を増やしてきたことを考慮すれば、全体点数で交差販売が占める割合は大きくなったものと見られている。

「許容された営業行為」

しかし銀行業界は、交差販売は法的に認められた営業行為であるとの立場だ。金融消費者保護法の施行により関連規制が強化されただけに、手続きに従って顧客の事情に合う商品を勧め、顧客自らの選択によって販売が行われたということだ。

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今年3月に施行された金融消費者保護法は20条1項1号と監督規定14条4項で、1カ月内に金融消費者の意思に反して他の金融商品契約締結を強要する行為を禁じている。しかし実際のところ、消費者はこうした法規定を十分に把握していない。都市銀行は金融消費者保護法の間隙を突き、契約締結から1カ月後から2カ月の間に金融商品契約を結ぶ「新たなコッギ」に手法を変えて営業している。

柳議員は「新たなコッギ防止のための監督規制拡大適用などを含む金融当局の制度改善はもちろん国策銀行と都市銀行のコッギ防止のために対策作りに乗り出すつもりだ」と述べた。

アン・ソユン記者