韓国の銀行で待機資金が増加…投資・消費の停滞で
韓国で消費と投資を減らす経済主体が増えるにつれ、銀行に留まった待機資金も増えている。流動性が随時入出金式の短期資金を中心に動けば、銀行の長期的な資金運用の負担になりかねないとの懸念の声も出ている。
要求払預金回転率、減少続く
韓国銀行の経済統計システムに公示された情報によると、今年7月に16.1回だった要求払預金(普通預金)回転率は、8月に15.8回、9月に15.1回、10月に13.7回と減少が続いている。
要求払預金回転率は平均残高に対する総支払小計額の割合を意味する。金融機関の要求払預金が一定の期間に平均何回、回転したかを示す指数だ。例えば、回転率が低いほど預金主が銀行に資金を預けておいたまま、なかなか引き出して使わないという意味だ。通常、要求払預金回転率は景気回復期に上昇し、不況時に縮小する傾向がある。
新型コロナウイルス・オミクロン株の出現を受け、不動産や株式など投資市場が停滞期を迎えたことで、家計と企業の資金が円滑に回らないいわゆる「金脈硬化(※1)」現象が顕著になり、投資先を見つけられなかった市場資金が要求払預金の残高に流入したと見られる。
【注※1】「動脈硬化」と「金」を合わせた造語で、血が体の中で正しく循環しない動脈硬化に例えてお金が市場で回らなかったり個人の資金繰りが円滑ではなかったりする状態を意味する。
関連記事:韓国で地方銀行の流動性指標が悪化…定期預金、投資に流出
不動産市場は金利引き上げと政府の融資規制強化などによって買収心理が減少し、売買価格の上昇傾向が鈍化した。韓国不動産院が発表した「2021年11月の住宅価格動向調査結果」によると、ソウルの月間の住宅総合売買価格は0.55%で前月(0.71%)に比べ上昇幅が縮小した。
KOSPI指数は、オミクロン株の拡大と、来年3月にアメリカの政策金利引き上げの可能性が高まったことから、今年10月に3000ポイント台を割った後、11月30日には2900ポイントを割り込み年初来安値を更新した。
キウム証券ハン・ジヨン研究員は「年初以降、市場の主要な不確実性の要因としてはインフレーション、供給難、FRBの政策の不確実性などがあった」としながら「まだ、致死率など細部データが確保されていないオミクロン株が登場し、市場の不確実性が増幅した」と説明した。
さらに、今年下半期、株式新規公開(IPO)の最大級といわれていたカカオバンクやクラフトンの公募株式の申し込み後、払戻金の一部が、銀行の要求払預金に流れたものと見られる。
長期的な資金運用に困難
ただ、流動性の短期性中心の動向が長引いたり、待機性資金である要求払預金からの突然の離脱が起きたりした場合、銀行が長期的な資金運用に取り組むのは難しいという見方が出ている。
要求払預金は、預金主が希望すればいつでも引き出せる資金で、流動性が大きいためだ。一度にまとまった資金が流出すれば、預貸率(預金対比融資額の割合)管理が難航する可能性が高い。
金融界の関係者は「今、市場の雰囲気では不確実性が強まると、投資家が様子見する傾向が強まっている。市場資金が投資と消費につながらず、短期預金にとどまる状況は当分、続くとみられる」と述べた。
続けて「これまで銀行は預貸率規制に合わせるため預金を多く集めてきたが、これが負担に転じる可能性が高くなった。資金調達コストがかかり続ける一方で、最近の金利引き上げを受け、顧客の預金金利に対する期待感が高まっている。これに応えなければならない状況も、銀行にとって負担になるだろう」と付け加えた。
イ・ジウン記者