韓国で地方銀行の流動性指標が悪化…定期預金、投資に流出
韓国の地方銀行の資金調達の安定性が悪化している。新型コロナウイルス長期化の影響で中長期流動性確保が難航する中、定期預金の特別販売で息継ぎをしている状況だ。
FSFR、2年間で3.11%下落
今年上半期の地方銀行5行(釜山・慶南・大邱・光州・全北)の純安定資金調達比率(NSFR)は平均107.50%だった。2019年上半期の110.61%から2020年上半期の108.49%に落ち込んだ後、下落傾向が続いている。
純安定資金調達比率(NSFR)は、銀行が1年間に流出可能性の高い負債に耐えられる資金を十分確保しているかを示す指標だ。比率が低いほど中長期流動性危機に弱い。
NSFRの低下は、新型コロナウイルス事態以降、株式や仮想通貨など投資市場に資金が大量に流れ込み、低金利基調が長引き、定期預金の規模が減少したことが影響していると見られる。また、NSFRで分母を占める融資資産が増大したことも、指標の比率が減少するのにある程度作用した。
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金融当局は、銀行がNSFRを100%以上維持するよう勧告している。金融当局が勧告している基準を割り込んだ場合、金融当局から改善勧告を受ける一方、流動性確保に向けた具体的な対策作りに乗り出さなければならない。都市銀行の平均NSFRは110%を上回る。
NSFR管理のためには、返済期限の短い短期融資を増やしたり、預金などの流動性の高い資産を確保したりしなければならない。
信用貸付を制限
しかし、金融当局が過度に増大した家計・企業向け融資の引き締めに乗り出し、地方銀行も信用融資限度を年間所得以内に制限している。さらに、短期融資の需要を拡大するのは容易ではないだけに、定期預金を通じて資金確保に乗り出すべきものと見られる。
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韓国銀行(中央銀行)が利上げの動きを見せると、光州(クァンジュ)銀行は8月18日から1カ月間、既存販売中の「プラスダモア定期預金」に追加優遇金利を加えて特別販売を実施した。追加優遇金利を加えて、1年物で最高1.30%、2年物で最高1.40%の金利が付く。
BNK慶南(キョンナム)銀行は今月初め、基本金利に優遇利率の条件をすべて満たせば6カ月は最高で年1.15%、12カ月は最高で年1.40%の金利が期待できる定期預金を発売した。
全北(チョンブク)銀行は9月29日から11月30日まで、最大年1.60%の金利を提供する「ザ・モア定期預金特別販売」を実施する。
貯蓄銀行に見劣り
ただし、貯蓄銀行業界の6カ月と12カ月満期定期預金金利の平均がそれぞれ1.45%、2.25%であることや、最近発表された預金・積金の特別販売金利が地方銀行より高いという点では、地方銀行の競争力が低下する可能性があるとの懸念も出ている。
サンサンイン貯蓄銀行は9月9日、年11%の高金利を提供する「ベンベンベン・ワンプラス・ワン定期積金」を発表し、同日、OK貯蓄銀行は年2.5%の金利が付く「OKショット定期預金」を発売した。
地方銀行のある関係者は「NSFRは低下したものの、勧告値の100%以上で管理している」とし、「通常、預貯金の満期が年末に来るため、前受け金を確保して資金流出に備える必要がある」と述べた。
イ・ジウン記者