韓国証券業界で収益増加率の格差が拡大…一任取引が影響
昨年、韓国の証券業界では、証券会社の投資一任手数料収益が大きく跳ね上がった。ただし、証券会社ごとの収益増加率の格差はかなり大きかった。これは「ラップアカウント」商品の販売実績が影響によるものだとの分析が出ている。
22社平均、収益87.5%増
金融監督院が公開した資料によると、投資一任の現況が比較可能な証券会社22社の、昨年第3四半期の投資一任に関連する手数料収益は2192億ウォンで、2年前の2019年第3四半期(1169億ウォン)より87.5%増加した。
手数料収益は、個人と機関の両方で伸びた。一般投資家から発生した収益は、2019年第3四半期の844億ウォンから昨年第3四半期は1658億ウォンへと96.4%増加した。専門(機関)投資家から発生した収益は324億ウォンから533億ウォンへと64.4%増えた。
これは新型コロナウイルス以後、金利引下げや多様な支援資金などによって市場流動性が拡大した状況で、実物投資に負担を感じた顧客が資金運用先を探している影響だというのが証券業界の分析だ。
特に、一般投資家から発生した収益増加率が高い理由は、直接投資に疲労感を強めた個人投資家を中心に、専門的な一任サービスへの関心が高まったためと予想される。
顧客・契約数ともに増加
該当期間に投資一任を契約した顧客数は171万人から185万人に、契約件数は189億件から204億件へとそれぞれ、8%ほど増加した。そして、既存投資家の追加資金の一任まで加わり、一任契約の資産総額は115兆8677億ウォンから144兆498億ウォンへと24.3%が増加した。
ただし、証券会社間の成果の格差は大きかった。安定的な収益の成長率を見せた大手証券会社に続き、中小型証券会社の躍進が目立つ中、2年前と比べてあまり差がなかったり、むしろ収益が減少したりした証券会社も存在した。
100億ウォン以上の手数料収益を出した大手証券会社としては、△韓国投資証券(221.5%)△未来アセット証券(133.3%)△サムスン証券(76.1%)などが有意義な成果を得た。
一方、新韓金融投資は2年前に比べて、わずか5.8%の成長にとどまった。ハナ金融投資(45.3%)△NH投資証券(41.0%)△KB証券(39.7%)などは、業界平均より半分程度の低い成長率を見せた。
教保証券は減少
50億ウォン以上の手数料利益を出す中型証券会社の場合、△ハンファ投資証券(348.2%)△大信証券(158.4%)△ユアンタ証券(143.5%)などが平均以上の成長率を記録した。一方、教保証券の場合、むしろ新型コロナウイルス以前より9.1%減少した。
証券業界では全般的に資産管理(WM)部門を拡大する傾向の中、ポートフォリオ再編と攻撃的な営業戦略などが収益の増加率を分けたと評価している。これと関連し、最近、人気を集めている「ラップアカウント(Wrap Account)」商品が相当な影響を及ぼしたというのが業界関係者の話だ。
韓国投資証券は、最低加入金額が10億ウォン以上の「韓国投資マイスターファミリーオフィスラップ」と最低加入金額を10万ウォンまで下げた「韓国投資金現物積立式ラップ」を同時に運営し、顧客層の範囲を広げた。ハンファ投資証券の場合、一つの銘柄だけで運用する特化商品の「ハンファデルタラップ」など、商品ラインナップの差別化を図っている。
ユアンタ証券は、PMA(Privatebanker Management Accoun=PBが直接運用するラップ)を強化し、専門性を前面に出した結果、昨年末基準で2300億ウォンの累積販売を記録した。これは前年(1300億ウォン)比77%の成長率だ。投資家の間で有名なユ・ドンウォン氏(グローバル資産配分本部長)の名を掲げて信頼度を高めた「ユ・ドンウォンラボ」の成長率は176%に達する。
ラップアカウントとは、顧客の投資傾向に合わせた運用方式で資産を代わりに管理し、一定の手数料を受け取る投資一任サービスを意味する。専門家が資産構成から運用、諮問、事後管理まで統合的に管理する総合金融サービスを提供するのが特徴だ。
証券業界の関係者は「株式市場の変動性が大きくなり、直接投資の代わりに投資資産を一任しようとする需要者が増えている」としながら「証券会社別に特化した商品と営業力などが成果を左右している」と述べた。
ユ・スジョン記者