韓国の金融業界、海外不動産投資のリスク拡大
海外の不動産市場の冷却化を受け、国内金融会社のリスク増大が見込まれるとして、韓国金融当局が対応に乗り出した。
規模77兆7000億ウォン、当局警戒
金融監督院は20日、国内証券会社10社のリスク管理責任者(CRO)、企業金融(IB)担当役員などを集めて「不動産エクスポージャー管理強化懇談会」を開催した。
今回の会議で金融監督院は、証券会社に不良債権を早急に償却することを注文した。また、不良債権化が懸念される不動産プロジェクトファイナンス(PF)の場合、外部売却や構造見直しなどを通じて迅速に整理するよう求めた。
金融監督院のファン・ソンオ金融投資副院長は、「特に海外代替投資の場合、1件当たりの金額が大きく、持分や劣後債の方式で投資されたケースも多い。証券会社の健全性に重要な影響を及ぼす可能性がある」とし、「投資対象資産の価値が下落するなど、損失の兆候が表れた場合、財務諸表に適時反映されるように、常時、自己点検してほしい」と強調した。
現在、国内の金融業界では不動産PFリスクが拡大している。この中で海外の代替資産の不良債権化が大きく懸念されている状況だ。
金融投資協会によると、今月の海外不動産ファンドの純資産総額は77兆7035億ウォンで、2019年末の55兆5435億ウォン比で40%増加した。2025年までに満期が到来する海外不動産ファンドは全部で29兆9000億ウォンに達する。
金融投資業界の関係者は「2019年に不動産市場が好況期を迎え、国内金融会社の海外投資規模が急激に増えた」とし、「これからの数年間、海外不動産ファンドの満期が次々と到来する予定で、関連エクスポージャーが大きい金融会社が懸念される」と述べた。
実際、2019年に香港ゴールディンファイナンシャルグローバルセンター(GFGCビル)に大金を投資した未来アセット証券は、最近大きな損失を被ることになった。
格付け見通し「否定的」
未来アセットグループ傘下の代替投資専門運用会社であるマルチアセット資産運用は、19日に集合投資財産評価委員会を開き、GFGCビルの融資のために造成したファンド2800億ウォンのうち90%ほどを償却することにしたと伝えられている。
香港九龍半島にあるGFGCビルは、香港政府が34兆ウォンを投資して、合計690万坪規模で開発する新たなビジネスセンターで、当時は投資魅力度が高かった。以後、新型コロナと金利引き上げの余波で満期を3年以上繰り延べしたあげく、結局はビルの売却で損失を確定することになった。
最も投資規模の大きいアメリカとヨーロッパでも、不動産価格が持続的に下落している。在宅勤務と景気低迷の懸念で商業用建物の空室率が高まったからだ。
信用評価会社のムーディーズによると、アメリカの商業用不動産価格は今年の第1四半期に前四半期比0.76%下落した。前四半期比で米商業用不動産の価格が下がったのは約12年ぶりだ。
金融投資業界の関係者は「国内証券会社の海外不動産投資規模が小さくない分、外国為替市場を注視しなければならない」とし、「延滞率管理のための融資債権の償却が行われる場合、貸倒コストが発生する可能性がある」と説明した。
一方、韓国企業評価と韓国信用評価、ナイス信用評価などは、証券業の下半期の格付けの見通しを「否定的」と評価した。また、産業展望もやはり「非友好的」と診断した。
イ・ヨンギョン記者