韓国銀行圏、外貨流動性確保に熱…外貨預金の離脱を懸念
韓国の銀行が外貨流動性の確保に奔走している。アメリカの金利引き上げなどの影響でドル・ウォン相場が連日急騰し、為替差益を狙った外貨預金の離脱が深刻化しているからだ。
1カ月間で54億ドル減少
韓国銀行(中央銀行)によると、先月末基準、外換銀行の居住者外貨預金残高は928億1000万ドルと集計された。今年2月末より54億3000万ドル減少した規模で、昨年8月(926億ドル)以来、最も低い数値だ。
居住者外貨預金とは、韓国人と国内で6カ月以上居住した外国人、国内企業または韓国に進出した外国企業などが国内銀行に預けた外貨預金を意味する。
企業預金残高は1カ月間で44億7000万ドル減少した763億4000万ドル、個人預金残高は9億6000万ドル減少した163億7000万ドルと集計された。
金融業界では、企業の海外投資資金や輸入決済代金の引き出し規模が拡大し、為替差益を狙った個人が現物為替の売りを増やした影響が大きかったと見ている。
最近のドル・ウォン相場は、米連邦準備制度理事会がウクライナ事態などにもかかわらず、緩和縮小の速度を上げる可能性が高まり、ドル高が続いている。2月の平均1ドル=1197.08ウォンから先月は1221.30ウォンへと23ウォン以上上昇し、25日には一時1245ウォンを突破した。
6月からLCR規制復元
銀行は大規模な外貨預金の離脱に神経を尖らせている。昨年3月、新型コロナウイルスに対する流動性確保のため緩和された流動性カバレッジ比率(LCR)規制が今年6月から復元されるからだ。
LCRは、金融会社が金融危機などに備えて最小限保有すべき現金化しやすい資産の比率だ。規制によって預金額などが減り、LCRが低くなれば、銀行の融資余力も減ることになる。
昨年末基準、5大銀行の外貨LCRは△KB国民銀行108.09%△新韓銀行110.84%△ウリィ銀行108.64%△ハナ銀行109.39%△NH農協銀行98.73%で、いずれも外貨LCR規制線の80%以上だ。
今すぐに外貨不足になる訳ではないが、新型コロナウイルス事態発生前の2018年末比減少幅(KB国民銀行31.35%、新韓銀行6.87%、ハナ銀行29.55%、農協銀行22.36%)を考慮すれば、管理が必要な状況だ。
外貨LCR比率が現在の規制基準を大きく上回っていても、新型コロナウイルス事態以前の水準にまで回復できなければ、統合LCR比率を合わせることは難しくなる可能性がある。
まず、銀行は外貨調達策として債券を相次いで発行している。KB国民、新韓、ウリィ、ハナ銀行が今年に入って発行した外貨建ESG(環境・社会・支配構造)債券規模は7642億ウォンに上る。これは昨年発行された外貨ESG債券(1兆7410億ウォン)の44%に達する規模だ。
BNK釜山銀行も、今年初の公募外貨建債発行のための準備作業に入った。釜山銀行は債権をユーロボンド(Reg S)で構成し、来週、アジアと欧州市場で投資家を募集する。償還期間は3年または5年が有力だ。韓国の社債市場で地方銀行が外貨建ESG債券を発行するのは今回が初めてだ。
コミットメントライン追加確保
各銀行はコミットメントラインの追加確保にも力を入れている。
コミットメントラインは、契約した金融機関同士の相互要請によって、あらかじめ約束した限度とレートで外貨を必ず貸さなければならない契約だ。これを受け、「外貨マイナス通帳」とも呼ばれる。拘束性のないクレジットラインに比べて安定的であるため、政府も金融危機以降、コミットメントラインの設定を勧告してきた。
ただ、金融業界の一部からはドル高環境での外貨調達リスクを懸念する声が出ている。
ドル・ウォン相場が高い状況で外貨を調達するためには、それだけ多くのウォンを取引する相手に担保として提供しなければならず、これに伴うウォンの流動性問題が発生する可能性があるということだ。外貨流入が円滑に行われなければ、返済に相当な困難を伴う恐れがあり、対外債務の増加で金融会社の対外信用度が低くなれば、外貨調達費用も同様に増加しかねないという指摘だ。
ある銀行圏の関係者は、「当局が猶予してくれた外貨のLCR規制が再び復元され、新型コロナウイルスの長期化にさまざまなグローバルイシューまで加わっているだけに、外貨流動性に対するモニタリングを綿密に行わなければならない状況だ」としながら、「外貨預金を増やすことを含め、多様な方式で流動性リスクに備えている」と述べた。
アン・ソユン記者