韓国の銀行、債券発行が倍増…NIMを重視

韓国の銀行が、銀行債の発行規模を急速に増やしている。相次ぐ基準金利引き上げにより受信が急増しているが、運用が容易ではない短期性の預金に集中している。そこで、市場金利がいっそう上がる前に、長期資金の吸収手段として銀行債を発行し、純利息マージン(NIM)を高めようとする戦略だ。

金利引き上げで短期預金に顧客集中

韓国の金融投資協会によると、今月の銀行圏の銀行債の純発行額は6兆1180億ウォンと集計された。昨年6月(3兆7040億ウォン)、5月(2兆7040億ウォン)と比較して、倍増した数値だ。

銀行は通常、既発の銀行債の満期が到来すると同じ規模で新しい債券を発行し、償還を繰り返す。純発行額は、全発行残高から借換えなどに当てられた償還額を引いた残りの額だ。純発行額が大きいほど、積極的に資金調達に乗り出していることを示す。

本格的な金利引き上げ期に入ってから、銀行の受信高が急速に拡大しているにもかかわらず、銀行債の発行量を増やしている点に注目すべきだ。

昨年末基準で690兆ウォン規模だった5大市中銀行の定期預・積金残高は、6月末に722兆5000億ウォンに増えた。ウクライナ戦争や米国の緊縮政策の加速化などで、株式や不動産市場の不確実性が拡大したこを受け、適当な投資先を見つけられない市中浮動資金が安定した預・積金に集中したためだ。

さらに、韓国銀行(中央銀行)は年内に2~3回、0.25%ずつの基準金利の追加引き上げを予告しており、受信への集中は下半期にも続く見込みだ。

しかし、急進的な金利引き上げ期には、安定的な需要の資金運用が難しい短期受信商品への流入が増えるだけに、長期的な流動性リスク管理のためには、銀行債の発行を増やす必要があるというのが銀行圏の説明だ。

預金保険料など負担なく

韓国銀行の経済統計システムによると、昨年5月基準で、銀行の6カ月未満の定期預金残高は1年前(82兆9578億ウォン)と比較して62.28%増加した134兆6279億ウォンを記録した。

市中銀行のある関係者は「金利上昇期を迎え、銀行の受信金利が持続的に上昇し、安定した投資先を探す資金が預・積金に流れ込んでいる。満期の短い商品に加入した後、金利が上がると新しい商品に乗り換え、利子収益を増やそうとする顧客がほとんどだ」と述べた。

続けて「短期受信は一時的に資金を預けるという性格が強く、資金運用が容易ではないが、急な基準金利引き上げによって、最近は預金に加入してから数カ月も経たない顧客の中途解約の問い合わせも多い」と付け加えた。

少しでも金利が低い時に銀行債を発行してこそ、収益性指標であるNIMを高めることができるという戦略も反映された。

3年物国債の利回りは、2.174%から3.218%(1月から過去22日)に上昇した。同期間、銀行債(無保証・AAA)1年物利回りは1.887%から3.616%、5年物利回りは2.634%から3.693%に上昇した。

他の市中銀行の関係者は「内外情勢の変動が大きい時期、流動性が短期資金を中心に動く時には、資金運用で安全ピンの役割をする中・長期資金の安全性を高め、純安定資金調達比率(NSFR)を大きな変動性なく維持することが重要だ」と述べた。

また「銀行の代表的な中・長期資金調達方案の一つが銀行債」であるとし、「銀行債を通じて資金を集めると、預金より調達金利自体は多少高いが、預金保険料や支給準備金などの負担がなく、むしろ60bp(1bp=0.01%)ほどの費用が減って収益改善効果が期待できる」と説明した。

アン・ソユン記者