韓国で銀行店舗が急速に減少…脆弱階層が疎外化の恐れ

韓国の市中銀行が最近5年間で、570カ所の店舗を閉鎖したことが分かった。同期間、金融脆弱階層のための共同支店とコンビニ店舗は、13カ所が開設されるにとどまった。消費者の不便を解消するため、当局と金融圏の積極的な努力が必要だという指摘が出ている。

5年間で570店閉鎖…代案店舗は1ケタ増

国会政務委員会に所属する共に民主党の尹永德(ユン・ヨンドク)議員室によると、4大市中銀行はここ5年間で合計570カ所の店舗を閉鎖した。

年度別に見ると、出張所を除いて2018年には36カ所、2019年には50カ所だったのが、2020年には161カ所、2021年には169カ所と大きく増えた。昨年は154店舗を閉鎖した。

この期間、銀行別では新韓銀行の閉店数が161カ所で一番多かった。続いてハナ銀行159カ所、ウリィ銀行146カ所、KB国民銀行104カ所のとなっている。

銀行店舗では入出金や通帳記入、公課金払込などの単純業務のほか、口座開設、金融商品加入、融資相談などATMで処理できない金融サービスを受けられる。

銀行の店舗が閉鎖された場合、モバイルやATMに慣れていない高齢者などの金融脆弱層が金融サービスからいっそう疎外される可能性があるという指摘が出ている。

このため、アメリカなど主要国は、銀行の店舗閉鎖時に地域住民の意見収集を義務付けるなど、金融消費者の不便を最小限に抑えるための手順を規定している。

韓国政府の金融委員会は昨年6月、銀行の支店数が急激に縮小している状況について「銀行圏オフライン金融サービス接近性の向上方案」を提示し、消費者保護、地域金融貢献のために制度改善をするとの計画を明らかにした。

計画の柱は「金融会社の共同支店の活性化」に関する内容だが、昨年末の時点で運営中の銀行共同支店は全部で4カ所に過ぎなかった。

他にも、金融委員会は「入出金など単純業務提供オフラインチャンネルの多様化」策として、「コンビニなどにおける入出金サービス提供」を拡大すると明らかにしているが、コンビニ店舗も2021年から2022年までに、たった9カ所の増加にとどまった。

尹議員は「金融の公共性は非常に重要だ」とし、「銀行店舗が閉鎖された場合、高齢者などの金融脆弱層は金融サービスの利用ができなくなるため、それを補完する政策が必要だ」と指摘した。

アン・ソユン記者