韓国金融当局、相互金融のガバナンス強化

相互金融業界で相次ぐ横領事件と金利上昇リスクに対する懸念から、韓国金融当局は違反行為に対する制裁の根拠を設け、引当金の積み増しを求めるための措置に積極的に乗り出した。

「横領」頻発に対応、引当金増も

政府の金融委員会は21日、第1次相互金融政策協議会をオンラインで開催し、相互金融圏のリスク要因と金融事故予防方案などに対する点検及び制度改善策を論議した。

信用協同組合と農協だけが義務付けられている常任監査役の選任根拠を水産業協同組合と山林組合、セマウル金庫にも適用し、理事長と特殊関係人などは常任監査役から排除する内容だ。

一定規模以上の組合については、内部統制基準を設けるようにする方案も推進される予定だ。

相互金融は金融会社支配構造法の適用対象ではないため、内部統制基準を設ける義務条項はない。ただ、同法の「資産7000億ウォン以上」の条項に限って優先的に導入を推進すると言及された。同法では、資産7000億ウォン以上の貯蓄銀行に対し、取締役会に社外取締役を3人以上かつ過半数選任し、監査委員会では社外取締役を3人以上かつ3分の2以上置くように規定しており、これを相互金融にも適用するというものだ。

これとともに、相互金融職員の業務上横領・背任・詐欺犯罪に対する制裁根拠を新設する方案も強調された。

また、金利上昇期に備えた相互金融会社の損失吸収能力の強化方案も議論された。相互金融の貸倒引当金積立率は、2019年末の129%から今年第1四半期末の126%へと停滞している状態だ。そのため、最近引き上げられている金利水準に対応できるように損失吸収能力を高める必要性があるというのが金融委の判断だ。

協議会は、十分な貸倒引当金の積立のため、相互金融組合の経営実態評価の計量指標に「貸倒引当金積立率」を反映する方案を推進することを決定した。

さらに、相互金融中央会が貸倒引当金の積立に関する内部統制手続きを設けるように指導すると言及された。現在、農協の場合は、これに関する内容を業務手引書に明示している。

不動産・建設業種や多重債務者への融資についてはは、貸倒引当金の積立基準を一層強化することに決定した。

金融委は上記の改善方案について、来月まで関係省庁と相互金融業界の意見を聞き、これをもとに法令改正を推進するという方針だ。

キム・スルギ記者